大間違いその3:分配金を目当てに、投信を買う

 ダメなロボアドバイザーでは、投資家がインカム収入をどの程度重視するかを訊くものがあるし、運用の解説書でも、例えば「55歳までには定年後に備えた生活設計に取りかかり、利子・配当を中心にしたポートフォリオに切り替えるべきだ」(バートン・マルキール『ウォール街のランダム・ウォーカー』井手正介訳、日本経済新聞出版社刊行。大変良い本なのだが、この部分は11版になっても直っていない)などと書かれている場合がある。

 分配金が大きいと、運用資産が複利で増えにくいし、税金面でも損なので、運用アドバイスとしては「分配金にこだわって運用商品を選ぶことは不適切です」と投資家に教えて上げることだ。加えて言うなら、分配金が大きい投資信託は手数料が高すぎるものがほとんどで、「買っていいもの」が見当たらないということもある。

 特に、日本の場合、高齢者が、分配金にこだわると手数料の高い不適切なファンドのセールスに引っ掛かりやすくなるといった問題がある。

 長寿命の日本人の場合、50代、60代はまだまだ元気で今後の運用期間もたっぷりあるので、「高齢者=インカム指向」という先入観は有害だ。ポートフォリオにまで歳を取らせる必要はない。