国別では、中国、米国、タイからの観光客伸びが大きい

 3月の訪日外国人観光客数を国別に見ると、中国での対日感情の改善を映し、中国人観光客の伸びが+16.2%と大きくなっています。中国人観光客は、1人当たりのインバウンド消費額が特に大きく、全体のインバウンド消費の伸びに貢献しています。

  韓国からの観光客数は、数では第2位ですが、前年比ではマイナスです。日韓関係の悪化が影響している可能性あります。米国や、東南アジアからの伸びも大きくなっています。

訪日外国人観光客数の上位8カ国:2019年3月

出所:日本政府観光局(JNTO)より楽天証券経済研究所が作成

中国のEC規制の影響は一時的

 2019年1月から、中国でEC(電子商取引)規制が導入されました。ECで、品物を売買する業者、個人に登録、納税(売却益が出た場合)を義務付けるものです。これにより、インバウンド消費に含まれていた、中国人観光客の代理購買需要(日本で買った商品を中国に帰ってECで転売する需要)が、1~3月は大きく減りました。このため、1~3月のインバウンド消費(買い物需要)にはブレーキがかかりました。ただし、この影響は一時的であった可能性もあります。4月以降、インバウンド消費は回復しています。

  長期的には、インバウンド消費で買われたものが、越境EC(国を越えたEC)が拡大していくトレンドは続きそうです。

  ただ、インバウンド・ブームの中身は、徐々に、買い物から「コト消費」に移りつつあります。コト消費の拡大で、安定的に成長が期待される電鉄株などに恩恵が大きくなります。モノの消費では、化粧品の伸びが、今後安定的に続くと考えられます。