令和時代に「稼ぐ製造業」のビジネスモデルは、どう変わるか?

「これはサービスです」は、日本語では「無料です」を意味します。昔、日本にはモノを売るためにサービスをタダで提供する慣行があったので、そういう言葉が生まれました。ところが、それは、製造業が成長産業だった20世紀の話しです。

 今の企業には、正反対の行動が広がっています。「アフターサービスで稼ぐために、ハードは赤字で売る」ビジネスモデルが広がっています。アフターサービスは、消耗品の販売、メンテナンス、システム化、カスタム対応、エンジニアリングなど、さまざまな分野に広がっています。

 たとえば、日本の機械産業は、汎用機械では利益を得にくくなっています。顧客別のシステム対応やカスタム化が利益を上げる鍵となっています。大量生産できる汎用品は低収益で、少量多品種の特注品が利益の柱となることが多くなりました。メンテナンスや交換部品の提供も、安定収益として重要になってきています。

 電機産業も同じです。汎用品の量産競争になりがちな、民生電機分野(テレビや音響機器など)で日本企業は競争力を失いました。メンテナンス、システム化、カスタム対応が重要な産業用電機で、日本企業の競争力が維持されています。

 製造業では、製造を外部委託して、生産管理・商品開発・販売企画だけを行う「ファブレス」企業も好調です。キーエンス(6861)は、ファブレス製造業の強みを生かし、安定的に高収益をあげています。製造小売業と言われるファーストリテイリング(9983)ニトリ(9843)も、ファブレス製造業と同様の強みを持ちます。