中国株ADR市場が注目されている

 中国株ADRとは、米国のNYSE(ニューヨーク証券取引所)やNASDAQ(ナスダック)に上場されている中国株の米国預託証券(American Depositary Receipt)を指します。

 ADRはドル建てで取引されています。その狙いは米国の投資家が投資しやすいように為替レート計算の手間を省くところにあります。

 

変貌を遂げる中国株ADR市場

 かつて中国株ADRはペトロチャイナ(ティッカーシンボル:PTR)のような中国を代表するブルーチップ企業が多かったのですが、近年ではネット企業やハイテク企業の上場が相次いでいます。

 その理由は、中国の創業者が上場に際し、経営権を奪われるリスクを避ける必要から、中国市場よりも上場基準の柔軟性が高い米国市場を選ぶためです。

 このため、中国株ADRは若い企業の上場先として選好される傾向があります。実際、テンセント(コード:700)など香港に上場されている一部のネット企業を除くと、ほとんどのネット企業は米国に上場されているのです。

 

中国のミレニアル層の間で中国株ADRが人気

 中国の若者の間では米国留学が流行っています。彼らは米国の大学で学んだあと、米シリコンバレーや中国本土の企業に就職するわけですが、高学歴な人ほどIT企業などの成長産業に就職することが多いです。

 そのようにしてグローバルに活躍している中国の若い裕福層が、いま投資に目を向け始めています。彼らは自分自身がIT企業に勤めている関係で、投資をする際にもオールド・エコノミーではなく、ネット企業などを選好します。

 このようなことを背景に中国株ADRの出来高上位銘柄は、比較的最近にIPO(株式の新規公開)された急成長企業によって占められています。