過去の中国株ADRブームとの違い
過去にも中国株ADRのブームはあったのですが、この時のブームは主にリバース・リスティングと呼ばれる「裏口上場」が主だったのに対し、今回はちゃんとした投資銀行を立て、売出目論見書によりIPOする企業が人気となっている点が異なります。
その場合、SEC(米国証券取引委員会)が上場審査を行いますし、引受主幹事が「デュー・デリジェンス」と呼ばれるチェックを行います。つまりいい加減な会社はIPOできないということです。
このような違いがあるため、今回のブームは前回よりもずっとしっかりした会社がトレーディングの対象となっています。
中国の個人投資家はオンライン・トレーディングが好き
もともと中国の個人投資家は、活発にオンライン・トレーディングすることで知られていました。下は戦略コンサルタント、オリバー・ワイマン社の試算です。
オンライン・トレーディング出来高(%、2018年、オリバー・ワイマン)
これまで中国の個人投資家はもっぱら中国本土市場でトレードしてきました。しかし冒頭に述べたような若くてグローバルに活躍している世代がどんどん台頭してきているので、トレーディングの舞台が米国にも広がっているのです。
中国人投資家の米国株オンライン・トレーディング(百万ドル、オリバー・ワイマン)
彼らが好んでトレードするのはJDドットコム(ティッカーシンボル:JD)、ニオ(ティッカーシンボル:NIO)、ピンドュオデュオ(ティッカーシンボル:PDD)、アイチーイー(ティッカーシンボル:IQ)、アリババ(ティッカーシンボル:BABA)、フヤ(ティッカーシンボル:HUYA)、モモ(ティッカーシンボル:MOMO)、テンセント・ミュージック(ティッカーシンボル:TME)などです。
そこで、これらの銘柄の中から5銘柄を選び、解説します。