ニオ

 ニオは中国で初めてオリジナルのEV(電気自動車)を出した会社です。

 過去3年に立て続けに「フォーミュラE」「EP9」「ES8」「ES6」「ET7」を発表してきました。

 同社は実際の生産をアウトソースしています。その関係で従業員は7,000人と少ないです。

 現在の主力はSUV(スポーツ用多目的車)の「ES8」です。これは同社初の量産車です。「ES8」は居住性の良さを誇っています。またNOMIスマート・スピーカーを搭載しており、これは消費者にたいへん好評です。

 中国政府は国策としてEVを奨励しています。その理由は中国の都市部の大気汚染問題への取組みの一環としてEVが切り札になると考えているからです。

 中国政府はメーカー各社に対し「生産するクルマの1割はEVにすること」という通達を出しています。また新規のガソリン・エンジン車の工場の建設は認めない方針です。

 ガソリン・エンジン車を所有する認可(ライセンス・プレート)は「くじ引き」になっており、これは当たる場合もあるし、外れる場合もあります。言い換えれば消費者が確実にクルマを所有したいと思えばEVを買うほうが早いのです。

 中国の自動車市場は(1) エントリー、(2)ミッドレンジ、(3)プレミアムの3つのカテゴリーに分類されます。

 向こう5年でエントリー市場は年率+3.9%で、ミッドレンジ市場は年率+4.5%で、プレミアム市場は年率+12.4%で成長すると予想されています。つまりプレミアム市場が最も急成長するのです。

 ニオはプレミアム市場に属し、価格帯で言えば6万から8万ドルの価格設定です。ちなみにテスラは高い輸入関税を課せられるので12万ドルくらいします。ほとんどの消費者には手が届きません。

 ニオの第4四半期決算はEPS予想▲32セントに対し▲47セント、売上高は34.4億人民元(5億ドル)でした。売上高成長率は前年同期比+133.8%。これは予想に反し、かなり悪い決算でした。

 ES8生産台数は8,069台、第3四半期は4,206台、納車台数は7,980台でした。第3四半期は3,268台でした。

 第1四半期売上高は13.9億人民元(2.02億ドル)~15.16億人民元(2.21億ドル)を見込んでいます。これは第4四半期と比べると▲59.5%から▲55.9%です。

 1月のES8の納車は1805台、2月のES8の納車は811台でした。つまり納車のペースがすごく落ち込んでいるのです。

 その理由は2018年第4四半期中、新年からの補助金引き下げを見越した駆け込み需要があったからです。

 これに加えて例年春節前に見られる自動車販売のスローダウン、さらに中国経済、とりわけ自動車業界全体に減速が見られていることなどが影響しています。

 2019年のEV補助金に関しては未だ不透明な部分が残っており、それが足下のEV販売の足を引っ張っています。