(今週の指標)ドル/円

 今週は、追加利上げ観測は一段と後退し、ドル買い要因より強い売り要因が多く、ドルの上値は重くなることを想定し、1ドル=110~112円の基本レンジを想定しました。

 ECB(欧州中央銀行)やBOE(英中央銀行)は金利引き上げに慎重であることから、FRB(米連邦準備制度理事会)の追加利上げ観測も弱まり、ドル先行地合いとなるものの、今週発表される米経済指標が低調だった場合は、早期追加利上げはさらに後退し、ドル買いは抑制されることになります。

 先週の予測では、FRBの追加利上げ停止観測で、政策金利がしばらく据え置かれる公算から、ドル買いがさらに高まってくる可能性は低く、111~113円の中で円高方向でのもみ合いを想定しました。

 結果的には、週始めはISM製造業景況指数や12月新築住宅販売件数が市場予想を上回ったことで、3月5日に112.14円までドル買い先行となるものの、OECDの世界経済の成長見通しの引き下げや12月の米貿易収支の大幅な赤字などを受け、リスク回避によるドル売り・円買いが優勢となりました。さらに週末3月8日には、前日のECBの2019年、2020年のユーロ圏の成長率の引き下げ決定を受け、ドルは一時110.79円まで売られ111.16円で引けました。