OPEC非加盟国の主要産油国

ロシアの生産量(100万バレル/日)
注:IEAデータよりクリークス作成

 2018年12月7日、OPECとロシアなど非加盟国は日量120万バレルの減産を決めた。内訳はOPECが同80万バレル、非加盟国が残りの同40万バレルで、このうちロシアが同23万バレルの減産を受け持つ。ロシアのプーチン大統領は協力する意思を示しつつも、減産回帰には否定的で、減産には加わりたくない立場を維持してきた。

 減産合意前にサウジアラビアとロシアは会合を重ねたが、減産の負担配分について意見は平行線をたどった。ロシアとしては最大同15万バレルの減産を要求、これをサウジアラビアは飲めずに折り合いを欠いたが、最終的には同25万バレル減産から若干緩い同23万バレル減産でなんとか合意にこぎつけた。12月時点でロシアの産油量は同1180バレルほどで、ソ連解体以降、過去最高を更新し、世界最大の産油国となっている。2017年以降、OPECと協調して減産を履行し、しっかりと順守したことで需給がバランスに向かい、ようやくシェア拡大、利権確保に動けるようになった矢先の再減産には、さすがに加わりたくないのがロシアの本音だっただろう。

 そもそも減産したくはないので、各調査機関の統計で在庫減少などが示されると、ロシアは積極的に減産ストップないしは増産を唱える可能性がある。2018年後半に生産量が著しく増えたことからも、増産したい意向がはっきりと確認できる。サウジアラビアが米国ばかりに配慮するようだと、ロシアは協調に背を向ける可能性すらある。

カナダの生産量(100万バレル/日)
注:IEAデータよりクリークス作成

 OPEC非加盟国でかつ減産に協調していない産油国にカナダがある。同国の産油動向がマーケットの関心事となることはそれほどないが、2018年12月、カナダのアルバータ州が前例のない減産命令を下した。オイルサンド生産の急増とパイプラインのスペース不足を理由に、2019年1月から原油とビチュメンの生産量を8.7%(日量32万5000バレル相当)を減産するというもの。

 これが一時買い材料視される場面もあったが、貯蔵の余剰感が解消されれば減産命令は解けることになる。解消されなくとも、最長で2019年末までと期限が決まっている。パイプラインの拡張計画などが進められており、早い段階で減産が終了する可能性もある。いずれにしても長くは続かず、かつ命令以上の減産の可能性も乏しいため、2019年の原油買いの材料には至らないと考えられる。

>>後編の米国と2019年の見通しに続く