主要産油国の生産動向

OPECらの協調減産によりOECD在庫の取り崩しは進んだが…

 2017年1月、OECDの商業用石油在庫は30億バレルを超えていた。OPECは原油市場が均衡する目標として、OECD在庫が過去5年平均レベルにまで減少する必要があるとし、2017年1月からOPEC加盟国およびロシアを含む非加盟国(メキシコ、オマーン、カザフスタンなど11カ国)は協調減産を開始した。目標水準までには2億8000万バレルの取り崩しが必要。そのため、日量約180万バレル(加盟国が日量120万バレル、非加盟国が日量60万バレル)の減産を始め、高い順守率のもと在庫の取り崩しは進んだ。

 減産期限の延長などを繰り返し、目標以上に減産するなど真摯に取り組んだこともあり、2018年上半期には28億バレル近くにまで減少した。すると6月の総会では、目標を上回っていた減産順守率を100%に戻して供給量を増やすことを確認するに至った。当時、財政危機に陥ったベネズエラの産油量が4割ほど落ち込んだこと、米国の対イラン経済制裁再発動による供給減が見込まれること、これら二重の供給不足への懸念もあったため、供給拡大が必要とのコンセンサスで固まった。

 2018年7月から日量100万バレルの増産へと方針転換すると、在庫は再び増加に転じた。供給減少の懸念材料であったイラン産原油の禁輸に関しては、8カ国が適用除外を受け180日間の輸入が可能となった。そのため供給減少への懸念が後退し、在庫はさらに積み上がることとなった。米エネルギー情報局(EIA)の見通しでは、2019年下期に再度30億バレルを回復することが見込まれている。再び過剰供給への警戒が高まり、OPECらは2019年から改めて日量120万バレルの減産に踏み切らざるを得なくなった。

OPEC生産量(100万バレル/日)

注:IEAのデータよりクリークス作成

OECD商業用石油在庫(100万バレル)

注:EIA、IEAデータよりクリークス作成