逆イールドは「景気後退の予兆」と見られている

 「長短金利逆転(逆イールド)は米景気悪化の前兆」と、米国の投資家の頭に深く刷り込まれています。利上げが続き、短期金利が長期金利を追い越してしまう「逆イールド」が起こりそうになると、投資家は、神経質に株売りで、反応します。

 マーケット参加者が、逆イールドに過敏になっているのは、過去、逆イールドになった後、米景気が後退局面に入ることが多かったからです。2008年のリーマン・ショックも、長短金利が逆転した後に、起こっています。

米長期(10年)金利と、FF金利の推移:2004年1月~2019年1月18日

 

米利上げ打ち止めが視野に。米景気は「ほど良い湯加減」を保てるか?

 株式市場が1月に入って落ち着きを取り戻したのは、米利上げが打ち止めに近いという見方が広がってきたことによります。

 米利上げが打ち止めになれば、米国株だけでなく、世界中の株にとって好影響があります。実際、1月だけ見ると世界株高になっている背景に、米利上げ打ち止め期待があります。

 ただし、この株高が続くためには、1つ条件があります。米景気・企業業績が予想以上に落ち込まないことです。米景気が弱すぎると、金利が下がっても株は下がります。

 株にとって都合がいいのは、景気が熱すぎず寒すぎず「ほど良い湯加減」を保つことです。世界株高を続かせる「ほど良い湯加減」に戻れるのか、今後出てくる米国や中国の景気指標を見ながら手探りしていくことになります。

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