6.自動運転関連の銘柄群
表6は、自動運転関連の主な銘柄群をまとめたものです。自動運転では、「見る」→「考える」「感じる」→「操作」するという経路を経て車を動かします。日本企業の中で最も参入企業が多いのは「見る」(センシング)の部分で、TDK、ソニー、デンソー、日本電産、日立製作所、アルプス電気など数多くの企業が参入しています。
また、最終段階の「操作する」(コントロール)は、従来から自動車向けマイコンやECU(エンジンコントロールユニット)を手掛けていたルネサスエレクトロニクス、NXP、デンソーなどが入ります。この分野は伸びは大きくありませんが、一部の企業にしか出来ない重要な部分です。
そして最も重要なのは、「考える」「感じる」の部分です。この分野は自動運転用AIの開発会社が手掛けることになりますが、最も先行しているのが、前述のようにウェイモで、次いでGM、インテル+モービルアイ、エヌビディアとなります。ルネサスエレクトロニクスやNXPなどの自動車用マイコンやデンソーのようなECUの会社も進出しようとしていますが、今のところ成果は出ていないもようです。
表6 自動運転の仕組みと関連企業
7.自動車の電動化と自動運転の関連銘柄
自動車の電動化も自動運転も、日本の完成車メーカー、大手自動車部品メーカーは乗り遅れてしまったため、投資妙味は乏しいと考えられます。ただし、自動車が電子部品、半導体、モーター、ソフトウェアの固まりになるという大きな流れは、自動車の電動化でも自動運転でも変わりません。そこで、日本の得意な電子部品、自動車用半導体と、自動車用ソフトウェアの関連銘柄に注目したいと思います。
まず電子部品では、自動車向けMLCCの大手である村田製作所、TDKです。自動車向けMLCCは自動車の電動化とADASの普及に伴って需要が好調で、村田製作所は今1Qから値上げ交渉を行っています。TDKも昨年から値上げしているもようです。値上げの効果が業績に寄与すると予想されます。
また、子会社アルパインと経営統合するアルプス電気(2019年1月からアルプスアルパイン)は、経営統合によって自動運転分野へ注力する意向です。
モーターでは日本電産がデンソーに並ぶ世界的大手の自動車向けモーターメーカーに成長しています。自動車向けモーターの需要も強いものがあります。
EV用電池では、世界第2位の車載用リチウムイオン電池メーカーであるパナソニックです。
自動車向け半導体では、ルネサスエレクトロニクスとデンソーです。中長期で自動車の半導体装着数が増える恩恵があると思われます。ただし、ルネサスエレクトロニクスはインテグレーテッド・デバイス・テクノロジーの買収を行う予定なので、この大型買収(買収金額は約7,330億円)の成否と負債の増加に注意が必要です。また、ルネサスエレクトロニクスもデンソーも自動運転用AI半導体を設計できるかどうか未知数です。
ソフトウェアでは、自動車向けソフト開発を行っているシステムインテグレーター、富士ソフト、サイバーコム(富士ソフト子会社)、アルファシステムズ、アイ・エス・ビー、SCSK、アドソル日進などが注目されます。
本レポートに掲載した銘柄:トヨタ自動車(7203)、日産自動車(7201)、デンソー(6902)、村田製作所(6981)、TDK(6762)、アルプス電気(6770)、日本電産(6594)、ルネサスエレクトロニクス(6723)、富士ソフト(9749)、アルファシステムズ(4719)、アイ・エス・ビー(9702)、SCSK(9719)、アドソル日進(3837)