4.銘柄コメント

富士ソフト

 富士ソフトの2018年12月期3Q(2018年7-9月期)は、売上高520億9,500万円(前年比16.6%増)、営業利益33億7,800万円(同30.0%増)と好調でした。子会社サイバネットシステムののれん代減損(サイバネットシステム子会社の業績見通しを下方修正したことによる)によって、親会社株主に帰属する当期純利益は12億7,900万円(同5.8%減)と減益になりましたが、実態は好調でした。

 収益源の組込系/制御系ソフトウェアの今3Q売上高は前年比11.8%増と順調でした。このうち、自動車関連は同31.5%増と全体をけん引しました。ADAS向けソフト開発が好調でした。顧客別には、日系自動車メーカー向け、大手自動車部品メーカー向けが好調でした。機械制御系はFA向けは好調でしたが、複写機向けが不調でした。社会インフラ系は交通向けが振るいませんでしたが、5G用基地局向けソフト開発が小規模ですが継続したもようです。

 業務系ソフトウェアの今3Q売上高は前年比12.3%増となりました。金融向けが生損保、カード会社向けに順調に伸びました。また、製造業向けが金額は小さいものの前年比62.3%増と大きな伸びを示しました。自動車向けで制御系とともに業務系システムを受注する例が増えました。

 プロダクトサービスは製造業向けにパソコン用パッケージソフトの売上高が増えました。

 各セグメントで採算も改善し、全社の営業利益率は前3Q5.8%から今3Q6.5%に改善しました。

 また今3Qの全社受注高は前年比10.9%増と順調に伸びました。組込系/制御系ソフトウェア、業務系ソフトウェアともに二桁増でしたが、特に業務系ソフトウェアの受注が好調でした。

 今1~3Qの業績好調にもかかわらず、会社側は今期業績予想を上方修正しませんでした。子会社で流通システムを手掛けるヴィンクスの業績見通しが不透明なことによります。ただし、富士ソフト本体の業績が好調なので、楽天証券では、前回レポート(楽天証券投資WEEKLY2018年9月28日号)の売上高、営業利益、経常利益予想を維持し、当期純利益のみ下方修正します(サイバネットシステムの下方修正を織り込んだ)。

 制御系では独立系最大手でもあり、人材採用は比較的上手く行っているもようです(2019年4月入社の新卒採用計画は800人、中途採用計画は年間300~400人)。また、富士ソフト本体の技術者約6,500人に対して外注を約5,000人使っているため、比較的業績を伸ばし易いと言えます(外注会社も新卒採用や中途採用を行うため、人手不足をある程度は補える)。来期2019年12月期も業績好調が予想されます。

 目標株価は、2019年12月期楽天証券予想EPS278.0円に想定PER20~25倍を当てはめ6,000円とします(期間は6~12カ月間。以下同様)。前回の7,000円から株式市場の動向を踏まえて引き下げますが、引き続き投資妙味を感じる銘柄です。