2.制御系システム開発も好調続く
また、制御系では各社とも自動車向けが好調です。自動車の電動化と自動運転(現在はADAS(先進運転支援システム))の普及によって、自動車向けシステム開発が大きなビジネスになっています。自動車向けは中長期で有望な分野です。
通信制御系では5G(第5世代移動通信)用の基地局向けソフト開発がまだ小規模ですが継続しているもようです。この分野は、来期から大きくなると思われます。また、5Gは応用分野がスマートフォンだけでなく、医療、自動車、機械、ゲーム・エンタテインメントなど多岐にわたるため、応用分野のシステム開発が5Gの本サービスが開始される2020年以降活発になると予想されます。これもSI会社にとって重要なビジネスになると思われます。
この他、機械制御系ではFA(ファクトリーオートメーション)向けが好調です。この分野では、工場のネットワーク化が盛んになっており、その恩恵をSI会社も受けています。また、中長期では、ファナックが推進している「フィールドシステム」のように、異なるメーカーのロボット、工作機械をネットワーク化する構想が複数のロボットメーカー、工作機械メーカーで進んでいます。この関連のシステム開発が中長期で大きなものになると思われます。
3.リスクは人手不足
足元のシステム開発市場は、開発案件は沢山あるものの、技術者不足で案件を選別受注する状態になっています。受注条件も改善しているもようです。そして、技術者不足がSI会社のリスクになっています。グラフ2は、情報サービス業の技術系常用従業者数の前年比を見たものです。昨年は1%台の伸びでしたが、今年に入ってほとんど増えていません。
売上高を伸ばすには技術者を増やす必要がありますが、年を追って難しくなっています。中途採用が困難になってきていますので、自社で新卒採用や第二新卒を増やすことが重要になりますが、ある程度外注を使っている会社のほうが、売上高と利益は伸び易くなると思われます。採用戦略と外注戦略はSI会社の業績を見る上で重要になっています。
グラフ2 情報サービス業の常用従業者(技術系):前年比