ヤフーを評価する理由

 かつて成長株として期待が高かったヤフーは、投資家の期待に応えられないうちに、期待が剥げ落ちて、いまや配当利回りが高めの割安株となりつつあります。ただし、私は、ヤフーは、将来の成長に向けて、着実に手を打ってきていると考えています。

 ヤフーは、国内で、インターネット検索サイト最大手です。5~10年前までは、成長株として、投資家の期待を集めていました。検索サイトを支配する地位を利用して、さまざまなITサービスに進出して成長するポテンシャルを持っていたからです。

 米国の検索サイト最大手グーグルは、検索を支配する地位を利用してさまざまなITサービスを展開し、世界のITインフラを支配していきました。だから、ヤフーにもチャンスはあるはずだと期待されていました。

 ところが、ヤフーは、これまでその期待に応えられていません。検索サイト最大手として安定収益を得ていますが、成長を牽引する新ビジネスがなかなか出てきません。高成長を実現できないヤフーにしびれを切らした投資家は、徐々にヤフー株から離れていきました。かつて成長株として、PERなどで高く評価されていたヤフーは、だんだんバリュエーションの低い割安株になりつつあります。

 今期(2019年3月期)の連結純利益(市場予想)は、前期比23%減の1,007億円と、2期連続で減益となる見込みです。ただし、ヤフーは新たな成長の芽をつかみつつあると考えています。減益の主因は、スマホを使ったキャッシュレス決済(PayPayペイペイ)開始など、将来の成長に向けた費用の拡大だからです。

 ヤフーは今後、広告収入をさらに拡大する期待が出ています。月間ログインユーザー数が足元、前年同月比10%増の4,587万に増加。検索連動広告が増えたこと、アドフラウド(広告不正)対策を強化していることも評価できます。

 業績不振で、株価低迷が続いてきましたが、将来の成長を期待して買ってみたいところです。

 

三菱ケミカルを評価する理由

 三菱ケミカルHDは、前期(2018年3月期)に、純利益が前期比36%増の2,118億円と最高益を更新。MMAモノマーの市況上昇でケミカル部門の利益が大きく拡大したことが寄与しました。今期(2019年3月期)の純利益(会社予想)は、前期比0.6%増の2,130億円と微増を見込んでいます。ケミカル部門の利益が高水準を維持する見込みです。ただし、ケミカル部門は市況変動によって、収益が大きく変動します。安定的に収益を稼ぐ部門と評価はできません。

 私が三菱ケミカルを高く評価するポイントは、中長期的に成長が期待される高機能化学品やリチウムイオン電池材料など戦略製品を、数多く保有していることです。応用分野として、自動車・半導体・食品などがあります。

 

その他の銘柄コメント

 買ってみたい8銘柄の中に、三菱UFJ、みずほ、セブン銀と、銀行が3つ入っています。私は、銀行に投資するならば、海外で収益を拡大させている3メガ銀行か、手数料収入中心に安定収益を稼ぐセブン銀行に限定すべきと考えています。日銀の低金利政策でダメージを受け、収益悪化が長引く地方銀行には、投資すべきでないと考えています。

 3メガ銀行では、三菱UFJ FGとみずほFGのほか、三井住友FG(8316)も、予想配当利回りが3.8%と高く、投資魅力は高いと考えています。ただし、三井住友FGは、最低投資金額が約45万円と大きいので、上記リストには入りません。

 セブン銀行は、利益の大半をATM手数料で稼いでいます。ゼロ金利のマイナス効果が少なく、セブン‐イレブンの出店拡大で業績を伸ばしてきました。今期(2019年3月期)の経常利益(会社予想)は、前期比4%増の399億円と、2期連続で最高益を更新する見込みです。

 丸紅、双日は、総合商社です。丸紅は、今期(2019年3月期)の純利益(会社予想)が前期比9%増の2,300億円と、2期連続で最高益を更新する見込みです。双日も、今期(2019年3月期)の純利益(会社予想)は前期比23%増の700億円で、最高益を更新する見込みです。資源価格の反発が業績にプラスであるほか、非資源事業の利益拡大も貢献しています。

 中長期に両社を高く評価するのは、非資源事業を積極的に拡大してきたからです。資源事業の利益は不安定で高くは評価できません。ただ、両社とも世界景気敏感株で、世界景気が悪化すると株価が下がる可能性があることには、留意が必要です。

 センコーグループは、意外な最高益更新企業です。今期(2019年3月期)、連結純利益は、8期連続で最高益を更新することが見込まれています。トラック輸送業界は、人手不足に苦しんでいますが、最近、料金の引き上げが通り始め、今後、収益環境が改善すると予想しています。

 

 

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