不動産ブーム再来

 アベノミクスが始まった2013年以降、景気回復と異次元金融緩和の効果で、不動産需給が改善しました。今、都市部は、不動産ブームの様相を呈しています。

 

都心5区オフィスビルの募集賃料・空室率平均の推移:2004年1月~2018年9月


 
出所:三鬼商事より作成、都心5区は東京都千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区

 不動産市況はブームと下落を繰り返しています。2005~2007年にかけて「不動産ミニバブル」と言われるブームがありました。ところが、2008年に不動産ミニバブルは崩壊しました。その後、しばらく不動産市況は低迷しましたが、2014年から再び底打ちし、今、新たなブームに入っています。

 今、不動産ブームの最中ですが、東証REIT指数の上値は重くなっています。Jリート(東証に上場している上場不動産投資信託)が利回り商品であることが、理解されるようになった結果と考えています。

 

東証REIT指数と日経平均の値動き比較:2004年1月~2018年10月(22日)

注:2004年1月末を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成

 2007年の不動産ミニバブルの時は、東証REIT指数が、日経平均を上回る急騰を演じました。この頃の投資家は、Jリートが利回り投資商品であることを良く理解していなかったと言えます。成長株を買いあがる感覚で、Jリートが買い上げられました。

 2008年に不動産ミニバブルが崩壊し、さらにリーマンショックが起こると、日経平均も東証REIT指数も暴落しました。Jリートは利回り商品であるにもかかわらず、ブームで急騰した反動で、日経平均よりも大きく下がりました。この頃は、日本株とJリートを両方保有しても、分散投資効果はまったく得られませんでした。

 日経平均と東証REIT指数の連動は、その後も続きました。ただし、2015年以降は、異なる値動きになりつつあります。日経平均が上がると東証REIT指数が下がり、日経平均が下がると東証REIT指数が上がる傾向が見られます。Jリートがようやく利回り商品として売買されるようになってきたと考えています。

 今後、東証REIT指数は、日経平均と逆の動きをする傾向が強まると予想しています。つまり、日経平均が上がっても上がらず、下がっても下がりにくい商品になると予想しています。利回り商品として、日本株とあわせて保有し、一定の分散投資効果が得られるようになると、考えています。

 

 

 

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