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 不動産投資信託(リート)は投資家から集めた資金などにより不動産を取得し、保有不動産から生じる賃料やその売却益が投資家に分配される金融商品です。10月11日に公表された三鬼商事の都心5区オフィスビル空室率は2.33%と月次のデータが残る2002年1月以来の過去最低を更新しました。良好なオフィス需要は『Jリート』市場の下支え要因になるとみられ

 

【ポイント1】東証は『Jリート』の全体や用途別指数を公表

東証REIT指数は堅調に推移

 東京証券取引所は上場している『Jリート』の全体の動向を表す指数である東証REIT指数を公表しています。 これは上場している全ての『Jリート』を対象とした時価総額加重平均の指数です。また用途別にオフィス、住宅、商業・物流等の指数も算出・公表しています。

 10月11日時点で昨年末比との価格騰落率をみると、東証REIT指数は低金利や好調なオフィス需要などを背景に+6.2%となりました。用途別ではオフィスが+11.4%に対して商業・物流等はほぼ横ばいとなり、はこう色が出ています。

 

【ポイント2】オフィスビル空室率は低下

平均賃料は57カ月連続の上昇

『Jリート』指数への影響が大きい都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の9月のオフィスビル空室率が三鬼商事より10月11日に公表されました。都心5区のオフィスビル空室率は2.33%でした。前月に比べ▲0.12ポイント低下し、月次のデータが残る2002年1月以来の過去最低を更新しました。

 空室率の改善に伴い、賃料は緩やかながら上昇を続けています。9月の都心5区の平均賃料は、前月比+0.72%の坪当たり2万438円となり、57カ月連続の上昇となりました。需給が引き締まっている状況にあり、平均賃料は上昇が続いています。

 

【今後の展開】好調なオフィスビル需要が『Jリート』市場を下支え

 オフィスビルは2018年以降の新規供給の大幅増により空室率の上昇が懸念されていました。ところが企業の根強いオフィスビルへの需要などを背景に現状の低水準の空室率が続くとの見方が多くなってきました。首都圏マンションやアパートなどでは需給の緩和が見え始めていますが、日銀の金融緩和による低金利や好調な企業業績を背景とした企業の根強いオフィスビルへの需要が『Jリート』市場を下支えするとみられます。