外国人が買えば上がり、売れば下がる日本株

 外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均株価の動きはほとんど外国人によって決まります。この傾向は、過去20年以上、変わりません。

日経平均と外国人の売買動向(買い越しまたは売り越し額、株式現物と日経平均先物の合計):2016年10月1日~2018年10月2日(外国人売買動向は9月21日まで)

出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成
注:上のグラフの外国人売買で、棒グラフが上(プラス方向)に伸びているのは買い越し、下(マイナス方向)に伸びているのは売り越しを示す

 2018年の年初は外国人の売りで日経平均は急落。しかし、4月から外国人が買い越すと、急反発しました。5月から8月は、外国人の売り越し、買い越しが、目まぐるしく入れ替わったため、日経平均は上昇下落を繰り返しました。はっきりトレンドが出たのは、9月後半からです。外国人が積極的に買い始めると、日経平均は急騰しました。

 このように今年も、例年通り、外国人の売買で動く展開が続いています。ただ、あえて言うと、今年は、外国人の売っても、日経平均はあまり大きく下げなくなっています。外国人の売り局面では、すかさず日銀が日本株ETF(上場投資信託)の大口買いを入れて、下値を支えているからです。外国人が買うと、日経平均が大きく上がるのは、例年と変わりません。

 

先物を使う外国人は、株式現物を売買する外国人より、早く動く

 今年8月以降の外国人売買を、先物と株式現物に分けてみると、以下の通りとなっています。

外国人投資家による株式現物・先物売買動向、および日経平均の変動幅:2018年8月6日~10月2日

出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成
注:上の表の外国人売買で、プラスは買い越し、▲は売り越しを示す。先物売買は、日経平均先物のみ集計

 先物を使う外国人は、株式現物で売買する外国人より、早く動きます。9月前半は、先物が買い越しに転じ、日経平均が急反発。その後、株式現物は遅れて買い越しに転じました。9月25日以降の売買データはまだ出ていませんが、外国人の買いで上昇に弾みがついたと考えられます。

 外国人投資家といっても、いろいろな種類があります。株式現物を買ってくるのは、海外年金やソブリン・ウエルス・ファンド(国家ファンド)などの長期投資資金です。買ってすぐに売ることはまれです。

 ただし、日本株を買う外国人は、長期資金ばかりではありません。株価指数先物(日経平均先物など)を買う海外ヘッジファンドは、投機マネーです。日本株の上昇が見込める環境で、先物をどんどん買いますが、環境が悪化すると、すぐに売りに転じます。

 外国人の売買動向が変わるか判断するには、先物の売買動向をしっかり見ている必要があります。

 

 

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