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『日銀短観』は、日銀が金融政策運営の参考にするため、3カ月ごとに約1万社の企業に行う「全国企業短期経済観測調査」のことです。大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が代表的な指標として最も注目されます。景況感のほかに、企業の売上、収益、設備投資、雇用などの計画や業況判断も発表されます。今回は、原材料高や自然災害などから大企業・製造業と非製造業のDIが共に悪化しました。

 

【ポイント1】大企業・製造業の景況感は3期連続で悪化

先行きの景況感は横ばい

 10月1日に発表された9月の『日銀短観』は、大企業・製造業の景況感を示す業況判断DIが前回の6月調査から2ポイント低下の19となり、高水準ながら3四半期連続で悪化しました。業種別にみると、石油・石炭製品、窯業・土石製品、繊維など素材業種の低下が目立ちました。原材料高などが影響したとみられます。また、3カ月後の先行きのDIは、横ばいが見込まれています。

 大企業・非製造業の業況判断DIも22と、前回調査から2ポイント低下しました。自然災害や人件費などのコスト増が景況感を下押しした模様です。また、先行きのDIは、製造業同様、横ばいが見込まれています。

 

【ポイント2】設備投資計画は堅調

18年度想定為替レートは107.40円

 18年度の設備投資計画は、全規模・全産業ベースで前年度比+8.5%と前回調査からわずかながら上方修正されました。企業の設備投資意欲は引き続き堅調です。

 注目される大企業・製造業の18年度の想定為替レートは、1ドル=107円40銭と、前回調査とほぼ同水準でした。

 雇用人員判断DI(全規模・全産業ベース)は▲33(前回調査▲32)と、再び低下しました。

 

【今後の展開】堅調な設備投資や円安効果が株式市場をサポート

 1日の株式市場では、為替市場の円安・ドル高を好感し、日経平均株価が前日比125.72円高い24,245.76円で終了し、年初来の高値を更新しました。『日銀短観』で大企業・製造業の景況感が3期連続で悪化した影響は限定的でした。むしろ米中貿易摩擦への警戒が強まるなかでも、企業の先行きの景況感や設備投資計画が悪化しなかったことで安心感が広がったとみられます。足元の為替水準は、『日銀短観』の18年度の想定為替レートの1ドル=107円40銭を大きく上回っており、現状水準が続けば企業収益の押し上げ要因となることが今後も株式市場をサポートすると思われます。