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 中国は、高度経済成長を果たす一方で『環境問題』が深刻化し、日本でもPM2.5などが話題となりました。こうした『環境問題』に対して、習近平国家主席は政権1期目から取り組んできました。『環境問題』に関する法律が次々と改正・制定され、今では中国は世界的に見ても環境規制の厳しい国へと変化しました。

 

【ポイント1】次々と改正・制定された環境汚染を防止する関連法

制裁金や操業停止命令を受けるケースが相次ぐほど、環境規制が厳しくなった

 中国の『環境問題』に大きな変化が出始めたのは2015年頃からです。まず、2015年1月に環境保護法が約25年ぶりに全面改正・施行されました。この改正環境保護法では、環境保護省と地方政府の環境保護局が、環境汚染になると判断された企業に操業停止を命じることができるようになったほか、汚染物質の総量規制や制裁金の高額化などによる企業への罰則強化が行われました。

 改正環境保護法に続き、大気や水、固体廃棄物など環境関連の汚染防止法なども次々と改正・制定されました。こうした法制化によって、企業などへの環境規制違反の取り締まりは厳しくなり、環境対策を得意とする日本企業でさえも、制裁金や操業停止命令を受けるケースが相次いでいます。また、再生の過程で汚染が発生する廃棄プラスチックや銅スクラップ、段ボール古紙などの輸入も制限されるようになりました。

 

【ポイント2】大気汚染対策として自動車のEV化が進む

深センでは公共バスが全てEVバスに

 大気汚染対策の一環として、中国では新エネルギー車、すなわち電気自動車(EV)、プラグインハイブリット電気自動車、燃料電池車の普及が進められています。具体的には2020年には300万台、2030年には1,900万台の販売台数目標が設定されています。

 例えば、深センはエコカーのモデル推進都市で、公共バスは全てEVバスとなっています。上海では2020年までに少なくとも半分をクリーンエネルギーバスとする計画があるなど、今では中国はEVの導入が最も進んでいる国となりました。

 

【今後の展開】環境規制の強化により、今後も『環境問題』の改善が期待される

 民間の環境保護団体によると、2017年の北京市のPM2.5の濃度は前年比▲22%の大気1立方メートルあたり平均57マイクログラムと、2014年の同86マイクログラムをピークに減少傾向となり、改善されてきています。習国家主席は今年3月の全国人民代表大会(全人代)で環境対策に取り組む姿勢を改めて示したほか、6月には新たな大気汚染対策の3カ年行動計画が発表されています。急激な経済発展に伴って深刻だった『環境問題』は、環境規制の強化によって今後も改善が期待できそうです。