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米国の家計が保有する資産、負債の状況は、米連邦準備制度理事会(FRB)が四半期ごとに公表する「財務勘定」統計で捉えることができます。「財務勘定」とは、金融機関、法人、家計といった各部門の金融資産・負債の推移などを、預金や貸出、有価証券といった金融商品ごとに記録したものです。最新の「財務勘定」統計によれば、直近2017年10-12月期の家計『正味資産』は前期に続き過去最高を更新しました。
【ポイント1】家計の『正味資産』は9四半期連続で過去最高を更新
株価や住宅価格の値上がりで総資産が拡大
17年10-12月期末の米国家計の総資産は114.4兆ドルとなりました。同年7-9月期末に比べると2.3兆ドル、率にして2.0%の増加となります。一方、総負債は15.6兆ドル、前期末比0.2兆ドル、同1.4%の増加にとどまりました。その結果、総資産から総負債を引いた家計の『正味資産』は98.7兆ドルとなり、15年10-12月期以来9四半期連続で過去最高を更新しました。
【ポイント2】総資産の7割を占める金融資産
非金融資産は不動産が中心
資産の内訳は、金融資産が80.4兆ドル、非金融資産が34.0兆ドルでした。非金融資産のうち27.8兆ドルが不動産となります。
金融資産の内容は、株式等が17.9兆ドル(金融資産に占める比率は22.2%、会社形態をとっていない企業の持ち分を含めると29.5兆ドル、同36.7%)、投資信託が8.7兆ドル(同10.8%)、債券が3.9兆ドル(同4.9%、内訳は国債が1.4兆ドル、地方債が1.6兆ドル等)、年金が23.2兆ドル(同28.9%)等となっています。
【今後の展開】消費に前向きになってきた米国の家計、資産効果が再び発現
日本に比べ株式や投信の保有比率が高い
日銀の統計で、17年10-12月期末における日本の家計の資産内容を見ると、現預金が金融資産の51.1%を占め、次いで保険・年金等が同じく27.7%、株式等が同11.2%、投資信託が同5.8%等となっています。近年、日本の家計も株式や投信の保有残高を増やしていますが、金融資産に占める比率では米国に遥かに及ばないと言わざるを得ません。
米国の家計は消費に対して前向き
米国では、株価や住宅価格が値上がりし、家計の『正味資産』が増えると、所得の伸び以上に消費が拡大し、貯蓄率は低下するという関係が認められます。資産効果と呼ばれるものです。住宅バブル崩壊後に、一時この関係は崩れましたが、最近再び復活してきました。家計の消費マインドが前向きになってきたことを示すものであり、米景気拡大の支えとなりそうです。