2024年7-9月期決算は売上高21%増、米ジェイビルの買収も奏功
現地コード | 銘柄名 |
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00285 |
比亜迪電子国際 (BYDエレクトロニック) |
株価 | 情報種類 |
33.50HKD |
株価 企業情報 チャート |
スマートフォンなどのEMS(電子機器受託製造)を手掛けるBYDエレクトロニックの2024年7-9月期決算は、売上高が前年同期比21%増、前四半期比3%増の440億元に達し、市場予想を上回った。買収した米ジェイビル(Jabil)の中国製造部門の最適化や、ハイエンドのアンドロイドデバイスの販売好調、車載製品の成長などが背景。同社は続く10-12月期と2025年について、米アップル向けや、親会社BYD(01211)製の自動車向け、エヌビディア・ブラックウェル(AI向け次世代チップ)サーバー向けビジネスの順調な拡大を見込む。BOCIは2024-26年の予想売上高を据え置きながらも、製品構成の改善による利益率の上昇や金融費用の低減を理由に、予想純利益を増額修正。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
7-9月期の売上高は前年同期比21%増の440億元、純利益は1%増の15億元。それぞれ下期に関する市場予想の46%、57%を消化した。米国の顧客やハイエンドのアンドロイド機、AIS(自動車用インテリジェントシステム)の需要ピーク期の到来が背景。ジェイビル・モビリティーとの円滑な統合と事業の最適化により、粗利益率は8.5%へ1.6ポイント改善した。同社は7月に米ドル建て借入金を全額返済するなど、債務返済ペースを加速させており、2024年下期と2025年には金融費用が縮小する見込み。経営陣は2024年の売上目標を1,700億元に据え置き、利益率の安定推移を予想している。
組立て・部品事業では組立ての売上高が7-9月期に前四半期を上回った。部品はジェイビルのケーシング業務が成長に寄与し、粗利益率も改善。経営陣は一括調達などを通じたジェイビルの一段のコスト最適化を理由に2025年に粗利益率の改善を見込む。
AIS事業については10-12月期以降も勢いが続くとみて、2024年通期の収入見通しを200億元に据え置いた。BOCIも、BYDグループの自動車製品のアップグレードや販売増などを理由に、2025年のAIS事業の業績を楽観視している。
新インテリジェント製品(NIP)では、住宅用蓄電装置が大幅減収に見舞われているが、AIデータセンター(AIサーバーを含む)が成長。経営陣はAI需要の堅調とエヌビディア・ブラックウェルサーバー用部品の生産拡大を理由に、売上高が数十億元規模に達する見通しを示している。
BOCIはジェイビルの利益率の拡大や製品構成の改善、金融費用の軽減などを反映させる形で、2024-26年の予想EPS(1株当たり利益)を4%、6%、6%増額修正。引き続き2025年予想PER(株価収益率)14倍を当てはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、マクロ需要の弱さや主要顧客の新製品導入(NPI)に絡む受注の遅れ、BYDのEV販売の減速や発注戦略の変化、ジェイビルとの統合の遅れなどの可能性を挙げている。