米国株式の長期積立投資実績を検証してみる

 2024年に新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)が導入されるにあたり、米国株インデックスファンドなど低コストの投資信託に毎月コツコツ投資し続けると、長期的に相応の資産を築ける可能性が高いことが知られるようになりました。

 こうした積立投資で一番注意したいのは「途中で止めないこと」です。積立投資の初期段階や途中の株価変動で一時的に資産が目減りしたり、資産が増えなかったりしても、諦めずに継続することが大切となります。

 そこで長期目線に立った「米国株への積立投資(定時定額投資)実績」を市場実績で検証したいと思います。

 図表3は、約30年前の1993年1月に3万円を米国株(S&P500総収益指数/円換算)に投資。その後も毎月末に3万円ずつ継続的に投資してきた場合をシミュレーションしたものです。

 1993年1月から368回の定時定額投資を実践した場合、累計投資額は簿価ベースで1,104万円(=3万円×368回)となりました。その結果、「ドルコスト平均法」と「複利運用」(雪だるま)の効果で、投資元本の時価評価額は約8,469万円に膨らんできました。

 これは、時価資産が累計投資額(投資元本)の約7.67倍に成長してきたことを示します(8月末時点)。

 約30年の間にはITバブル崩壊(2000年)、リーマンショック(2008年)、コロナショック(2020年)、インフレショック(2022年)など株価が下落した場面が幾度もありました。

 長期投資を実践していく間に株価や為替が変動したケースは珍しくありません。そうした中、円換算した米国株の分散投資が預貯金はもちろん債券(確定利回り証券)や日本株を大きく上回るリターンをみせ、資産を増やすことができた市場実績がみてとれます。

 米国株に積立投資を続けた場合の長期的な資産形成効果をあらためて認識したいと思います。

<図表3>米国株式の長期積立投資実績を検証する

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1993年1月~2023年8月)

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