霜害発生、ブラジルのコーヒー豆生産量がおよそ半分に

 ブラジルは世界No.1のコーヒー豆(アラビカ種)生産国です。以下のグラフは、コーヒー豆(アラビカ種)生産国、上位3位の生産量を示したものです。

単位:1,000袋(1袋=60キログラム)
出所:USDA(米農務省)のデータをもとに筆者作成

 南半球の冬にあたる6月から8月、南回帰線(南緯23.4度)付近に位置するブラジル南部のコーヒーの主要生産地域では、霜が降りることがあります。

 冬には収穫は終了しているため、直接、霜がコーヒーノキ(コーヒーの実がなる木)の果実に影響を及ぼすことはないものの、冬の晴れた夜明けに急激に気温が下がり、コーヒーノキの葉に霜が降り、その後、日差しを受けて霜が溶けて水分が温められると、葉が茶褐色になって落ちてしまい、枯れることがあると言われています。

 そして、この霜害による落葉が、翌年以降の数年間、生産量を減少させる要因になると言われています。

 同地域で降霜は珍しくありませんが、1975年に起きた降霜は規模が大きかったこと、霜害に強い品種の改良が行われていなかったことなどにより、大規模な生産減少に見舞われました。

 USDA(米農務省)のデータによれば、大規模な降霜の翌年にあたる1976年度のブラジルのコーヒー豆(アラビカ種)の生産量は、1960年度から2018年度の58年間で最も少ない900万袋となりました。

単位:1,000袋(1袋=60キログラム)
出所:USDA(米農務省)のデータより筆者作成

 供給不足になるのではないか?と消費国で不安が高まったこと、その後、実際に生産量が歴史的な低水準まで減少したことが、コーヒー豆(アラビカ種)先物価格を急騰させたと考えられます。

 1975~1976年のコーヒー相場の急騰を風が吹けば桶屋が儲かるに当てはめれば、南半球が厳冬に見舞われたらコーヒー相場が急騰したということになります。