1970年代前半を振り返る-インフレと株価は「逆相関」

 先物市場で算出されている政策金利見通し(FOMC直後時点)によると、FRBは2023年央に利上げを5%程度で「打ち止め」とし、年後半から2024年にかけて徐々に利下げに転じると見込まれています。

 インフレの減速傾向だけでなく、昨年来の利上げ累積効果を受けた景気の鈍化傾向で、市場はFRBの「ピボット」(政策転換)が近いとみています。インフレ率がピークアウトを示してきたなか、景気鈍化が続けば、政策金利を割り込んで推移している長期債金利は一段と低下する可能性があります。

 長期債金利の低下は、株式の相対的なバリュエーションを改善させ、株式の復調(ボラティリティ低下≒恐怖指数(VIX)低下)そのものが株式市場のリスクプレミアムを低下させる可能性もあります。

<図表3>インフレ率と株価の長期的な相関を振り返る

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1972年初~1976年末)

 エネルギー価格高騰が引き金になったインフレ(物価高)は1970年代前半にみられました(第1次石油ショックと呼ばれました)。図表3は、1972年から1976年のインフレ率(CPI(消費者物価指数)の前年同月比伸び)と株価(S&P500)の推移を示したものです。

 1973年から上昇したインフレ率を抑制するためにFRBが実施した金融引き締めで株価は大幅下落を余儀なくされましたが、1974年末にインフレ率が12%超でピークをつける前に株価が底入れしたこともわかります。その後、インフレ率が減速傾向をたどる動きと「逆相関」のように株価が復調傾向をたどったことがわかります。

 今年も、市場がインフレ率の減速、金利の安定、景気のソフトランディングを見極めながら、米国株は年後半に向け復調傾向をたどるものと考えています。

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