インフレ時代にも強い「金」。3つのメリットとは?

――投資の世界では「有事の金」とよくいわれますが、その魅力はどんな点にあるのでしょうか?

吉岡 金への投資には3つのメリットがあります。それは希少価値の高さ、分散投資の対象としての魅力、実物資産としての価値や有事の際の資金の逃避先としての存在感です。

 まず希少価値の高さですが、金については特殊な資産だと思っています。

 金の供給量は限られており、採掘済みの金は合計しても五輪公式プール約4.0杯分しかないといわれています。また、世界の金の確認埋蔵量は五輪公式プールの約1.1杯分しかなく、その多くは採掘が困難な場所にあるといわれています。*1

 株式などは新株を発行して株数を増やすことができますが、金はそういうわけにはいきません。今後も全体量が限られている中で非常に高い価値を持っているからこそ、価格も長期的に見ると上昇しています。

――ロシアのウクライナ危機で、株価が急落する中、国内の金の価格は過去最高額に達しています。リスク分散の対象として考える必要がありそうですね。

吉岡 「有事の金」としての魅力は、ウクライナ危機で地政学的なリスクが強く意識されるなか、あらためて輝いて見えるのではないでしょうか。

 下のグラフは2000年以降の、金と世界株式の価格を米ドルベースで比較したものです。「有事の金」といわれるだけあり、「●●ショック」と呼ばれる金融危機の際に、世界株式に比べて下がりにくく、逆に上昇しやすい傾向が鮮明です。

 2008年のリーマンショックや2009年から始まった欧州債務危機、2015年夏に発生した人民元切り上げによるチャイナショック、そして2020年のコロナショックなど株価が急落している局面で、金の価格は上昇することが多くなっていました。

*1  出所:World Gold Council

金価格と世界株式の推移

(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ国際投信作成
(期間)2000/1~2022/1、月次
・金はスポット価格、世界株式はMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み)を使用しています。指数については【当WEBページで使用している指数について】をご覧ください。
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