日本株は先行きが分からない展開
日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)が連日で史上最高値を更新したかと思いきや、12日には日経平均が今年初めて1,000円超の大幅安となりました。一方、東証グロース市場250指数が大幅高となるなど、株価指数だけを見ていると上なのか下なのかよく分からない相場展開となっています。
7月末には日本銀行による金融政策決定会合が開催されるほか、3月期決算企業の2024年4-6月期決算発表も続々と出てきますので方向感には乏しく、やや個別株物色が強まりそうな状況です。
猛暑で注目が集まる株は?
そのような中、今年も昨年以上の猛暑が日本各地で予想されています。気象情報会社大手のウェザーニューズ(4825)が発表した2024年夏の見通しは、次の通りです。
- 7~9月の気温は全国的に平年より高く、観測史上最も暑くなった昨年に匹敵する暑さ
- チベット高気圧と太平洋高気圧が上空で重なり合う「ダブル高気圧」が発生
- 35度以上の猛暑日が続く中、地域によっては40度前後の酷暑になる
暑さのピークは梅雨明けの7月下旬から8月上旬との見方ですが、残暑は長く9月上旬まで暑い夏は続くとの見通しです。
このような「猛暑」が予想されると、株式市場では「サマーストック(猛暑関連)」にスポットが当たることが度々あります。決して「短期間で2倍」などの爆騰は期待できないのですが、機関投資家の多くが夏休み入りで売買代金が減少しがちな「夏枯れ」相場の中、個人投資家を中心とした買いが入りやすい季節的なテーマです。
「もう7月ですでに猛暑だけど、今から?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。実際、「麦わら帽子は冬に買え」という相場格言もあります。
これは、麦わら帽子、ビールなど夏物商品、コート、スキー用品など冬物商品といった季節によって大きく売り上げや業績が変動するシーズンストック(季節株)を先回りしてオフシーズンに購入し、オンシーズンに売却するシーズンストック戦略の有効性を説く格言です。
では「今から冬物を狙えばいいの?」となりそうですが、今年冬の気温はさっぱり分かりませんので、暖冬なのか極寒なのか二つに一つの賭けとなってしまいます。当たれば大きいかもしれませんが、投機に近いものになってしまいますので冬物を狙うのはやめておきましょう。
株式市場では、半導体やアップル関連、金融株など大型株中心に買われており、サマーストックはさほど話題になっていません。ですので、サマーストックはまだ投資妙味(値上がりの可能性)があると考えます。
今回、ご紹介する5銘柄はサマーストックの王道といわれる銘柄もあれば、「あれ、これも?」といった銘柄もありますが、来年以降もサマーストックとして注目される銘柄と思っています。来年以降も参考になればと思います。
暑い夏は業績にプラス!猛暑関連の日本株5選
銘柄名 | 株価(円) (7月18日終値) |
ポイント |
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東名(4439) | 2,568 | 電力小売り展開しており猛暑は追い風 |
SWCC(5805) | 4,465 | エネルギー・インフラに強い電線メーカー |
ホシザキ(6465) | 5,016 | 製氷機業界のパイオニア的存在 |
ニチコン(6996) | 1,182 | 蓄電関連銘柄の一角として注目 |
山善(8051) | 1,497 | 扇風機やサーキュレーターのインパクト強い |
東名(4439)
隠れサマーストックの一角として注目します。オフィス向け光回線サービスが主力事業ですが、電力小売業も展開していることから、猛暑になると業績にプラスとなる可能性があります。
7月12日に発表した2023年9月-2024年5月期の売上高、各利益はいずれも過去最高を更新。同期間の電力使用量は、春季電力需要安定期だったものの、3月中旬ごろまで寒冷な気温が続いたことや、同社サービスの「オフィスでんき119」契約保有件数を積み上げたことなどから、売上高および各利益は連動し逓増となりました。猛暑の今夏、業績への影響に期待したいところです。
SWCC(5805)
電力ひっ迫に関連した電線銘柄として注目します。エネルギー・インフラ事業を柱とした総合電線・ケーブルメーカーです。中期経営計画におけるエネルギー・インフラ事業は、建設での首都圏再開発による需要増加のほか、電力での洋上風力発電や大型データセンター向けなどの需要増加を見込んでいます。
5月に中期経営計画の見直しを発表し、2027年3月期の営業利益目標を170億円に、配当金を150円以上へそれぞれ引き上げる方針です。サマーストックというテーマ性でも注目していますが、しっかりとした業績推移は安心材料です。
ホシザキ(6465)
冷凍冷蔵庫、製氷機関連銘柄として注目します。毎年、猛暑というキーワードに反応しやすく、スーパーやコンビニ、教育機関、病院などさまざまな施設にサービスを提供しています。日本で初めて全自動製氷機を開発したことから、製氷業界のパイオニア的な企業です。
インバウンド需要を受けて、国内大手チェーン店の売上高は堅調に推移しているほか、4割ほどある海外売上高の想定為替レートは1ドル=140円、1ユーロ=151円と今時点の為替水準を考慮すると保守的な業績見通しといえます。
ニチコン(6996)
電力ひっ迫に関連した蓄電関連銘柄として注目します。安全性の高いオリビン型リン酸鉄リチウムを電池セルに採用した公共・産業用の蓄電システムを展開しています。主に、コンビニやスーパーなど小中規模施設から、大型商業施設やオフィスビルのほか、大型工場や大型物流拠点まで幅広く蓄電システムを提供しています。
今期見通しは、2期ぶりに過去最高売上高の更新を見込んでいるほか、純利益も2期連続で過去最高更新を見込んでいます。今後、再生エネルギー市場の拡大によって、家庭用蓄電システムが普及すると同社への関心も高まることでしょう。
山善(8051)
低価格で節約志向高めな扇風機関連銘柄として注目します。クーラーなどは一度購入すると数年から十数年はそのまま使用しますが、安価な扇風機やサーキュレーターはサポート的な存在のため、手軽に買い替えることが可能です。まさに同社はその需要を取り込んだ企業です。
売上高の6割超はマシニングセンタなど工作機械を含む生産財ビジネスが占めていますが、利益率ベースでみると家電や空調機器などの国内消費財ビジネスの方が高い傾向があります。
今期は増収増益を見込んでおり、4期連続で増配の方針。決して派手な企業業績というわけではありませんが、扇風機やサーキュレーターのイメージが強い同社はサマーストックの一角として市場で関心が高まる可能性は高いと考えます。