14日の日経平均は298円(1.6%)安の17,965円と、再び18,000円を割れました。日経平均は、先週水曜日(9月9日)に前日比1,343円高の18,770円と21年ぶりの上昇幅を記録し、大底をつけたと思われましたが、その後、3営業日連続安で18,000円を割れました。中国経済への不安、アメリカが利上げを強行する不安を背景に、外国人投資家が日本株を売る流れはまだ続いている模様です。

今日は、世界的に注目が高まっている、16・17日のFOMCの注目点を解説します。

(1) テクニカルには正念場

日経平均推移:2015年7月1日~9月14日

日経平均に、まだ、底入れ感は出ません。9月に入っても、上値・下値とも切り下げる展開(上図に赤のラインで表示)が続いており、調整が長引く気配もあります。中国発の悪材料は、簡単に解消されそうにありません。ただし、アメリカ利上げへの不安は、今週のFOMC後の米FRB(中央銀行)の声明内容次第では、解消に向かう可能性はあります。

(2)米FOMCに注目集まる

中国の景気不安が、新興国・資源国全般に広がる可能性が懸念される中、米景気のみ一人好調で気を吐いています。足元の米景気指標を見る限り、9月の利上げも完全には否定できない状況です。ただし、ここでアメリカが利上げして、さらにドルに資金が集中すると、新興国・資源国からの資金流出が止まらなくなり、新興国危機の引き金をひくことになりかねません。

米FRBはかつて「アメリカは世界の中央銀行ではない」として、利上げ判断は米国の経済状況によって決めるとしてきました。ただし、最近は「世界の金融動向や景気不安にも配慮が必要」と、発言を修正しています。今まさに世界の金融不安が高まりつつある中で、9月に利上げを実施することはないと考えるのが、普通です。

ただし、それでも9月に利上げを実施する可能性は完全には否定できません。早めに一度利上げを実施したうえで、「追加利上げは当分実施しない」ことを明確に示唆し、市場に広がったドル金利の先高感を抑える戦略をとるとの見方もあります。

(3)9月16・17日のFOMC結果予測

日本時間で9月18日(金)午前3時に、米FOMCの結果が公表される予定です。結果を織り込んで動く世界で最初の市場が、日本になります。サプライズ(驚き)を含む内容であれば、18日の東京市場で、株や為替が大きく動く可能性もあります。楽天証券経済研究所が想定するシナリオと確度をまとめたのが、下表です。

米FOMC結果:想定されるシナリオと確度

シナリオ 確 度 9月利上げ 10月以降の利上げについての示唆
50% 見送り 年内(10月または12月)利上げに含み
25% 利上げ実施 追加利上げは当分必要ないことを示唆
20% 見送り 当分利上げ実施はないことを示唆
5% 利上げ実施 年内の追加利上げに含み

(出所:楽天証券経済研究所)

最も確度が高い(50%)と考えているのが、9月の利上げを見送った上で、年内利上げに含みを持たせるものです。この通りになれば、市場にとってサプライズはないので、市場に大きな波乱は起きないでしょう。

次に可能性が高い(25%)と考えているのが、0.25%の利上げを実施した上で、FRBが「追加利上げは必要ない」と明確に示唆し、利上げ打ち止め感が広がるのを狙うケースです。この場合は、市場に何らかの波乱が起こるでしょう。利上げ実施をネガティブ・サプライズととらえてリスク資産を売る動きと、利上げ打ち止め感が出ることを好感する動きが交錯すると思います。

3番目に可能性が高い(20%)と考えているのが、利上げを見送った上で、先行きの利上げも当分必要ないと示唆するシナリオです。この場合も、市場に何らかの波乱が起こるでしょう。利上げが当分ないことを好感する向きと、アメリカも世界景気悪化の波に飲まれつつあると否定的に解釈する向きがあると思います。また、このケースでは、対ドルで円高が急伸するリスクもあり、日本株にとって必ずしもポジテシブとはいえません。

最後に、可能性は低い(5%)ものの、利上げを実施した上で、さらに年内の追加利上げに含みを持たせるシナリオも想定しています。そうなると、世界の金融市場にとって、ネガティブ・サプライズとなります。