米国株式に5万円ずつ積立投資したら「億りびと」になれた

 新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の「つみたて投資枠」は年額120万円と旧NISAから3倍に拡大されました。月額にすると10万円までの定時定額投資が可能となったということです。

 ただ、若年層で「毎月10万円のつみたて」を実行することが難しい方は多いと思います。一方、中堅世代を含めて「一定額から資産形成に励めば将来や老後に向け相応の備えができる」との考えが普及しています。

 そこで、家計の貯蓄や余裕資金から「毎月5万円のつみたて」を実施した場合の長期市場実績を以下で検証します。

 図表3は、30年前の1994年1月に5万円をS&P500総収益指数(円)に投資し、その後も毎月末に5万円ずつ継続的に投資してきたケースをシミュレーションしたものです。合計で361回の定時定額投資を実践すると、累計投資額は簿価ベースで1,805万円(=5万円×361回)となりました。

 この間のドルコスト平均法と複利運用(雪だるま)の効果で、投資元本の時価評価額は「約1億3,901万円」に膨らんできました(2024年1月末時点)。資産の時価評価額が累計投資額(投資元本)の7.7倍に成長してきた投資成果を示し、いわゆる「億りびと」(金融資産1億円以上を保有する個人や世帯)になれたということです。「つみたて投資」は、資産形成に向き合う時間軸の長さを武器にしたリターンの追及が本質です。

 幾度ものリスク(リターンのブレ=株価下落)を乗り越えてきた米国株式の長期リターンがもたらした資産形成効果は、米国の一般個人にとり「常識」とされる「長期投資」に対する信頼を支えているといっても過言ではないでしょう。

 日本でもここ数年で「資産形成のコアに据えるべきは長期積立(つみたて)投資である」との認識が広まってきました。今後も不定期に想定される株価の上下に一喜一憂せず、長期的な資産形成に取り組むにあたり参考にしていただきたいと思います。

<図表3>米国株式の長期積立投資効果(円)を検証する

*上記は過去の市場実績に基づくシミュレーションであり将来の投資成果を保証するものではありません。
出所: Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1994年1月~2024年1月)

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