ナスダック100が「最強の株価指数」と呼ばれる理由

 米国市場では多くの機関投資家が運用指標とする「S&P500種指数」が1月の騰落率を+1.6%で終えました。「1月バロメーター」と呼ばれる経験則(アノマリー)では「1月のS&P500の動きはその年の相場の動きを予兆する」(As the S&P500 goes in January、so goes the year)とされ、1950年以来の生起確率は83.6%です(Stock Trader’s Almanac 2024)。

 1月25日に発表された昨年第4Q(10-12月期)の米・実質GDP(国内総生産)成長率(前期比年率換算)は+3.3%と市場予想平均(+2.0%)を大きく上回り、経済のソフトランディング(軟着陸)観測を広めました。

 一方、FRB(米連邦準備制度理事会)が注目しているPCE(個人消費支出)コア(食品とエネルギーを除く)価格指数は12月に前年同月比+2.9%と11月(+3.2%)から減速し2021年3月以降で最低の伸びを示しました。

 こうした中、市場が注目していたFOMC(米連邦公開市場委員会:30~31日)は事前予想通り「政策金利の据え置き」を決定。パウエルFRB議長は直後の記者会見で景気の底堅さとインフレ率の減速で「リスクバランスが改善した」と評価しつつ、当面の金融政策転換については慎重姿勢を示して市場の「早期利下げ観測」をけん制しました。

 本稿では、注目度の高い株価指数の長期リターンに注目します。図表1は、ナスダック100(NASDAQ-100 Index)指数の過去30年のパフォーマンスを検証したものです。その時々の主力ハイテク株のウエートが高い同指数は、大小の変動を経ながらも1994年初から「43倍」に成長(年率平均:+17.6%)してきました(1月末時点)。

 同じ30年間でS&P500のパフォーマンスは「10.4倍」(年率平均:+9.4%)でしたので、ナスダック100指数が「最強の株価指数」と呼ばれる理由が分かります。

<図表1>ナスダック100は最強の長期市場実績を示してきた

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1994年初~2024年1月31日)