ナスダック100連動型ETFのリターンは日経平均をしのぐ

 今年の東京株式市場では、日経平均株価(225種)が7月3日に33年ぶりの高値を付けて日本株の復調を印象付けました。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が4月に来日したのを契機に高まった日本株の割安感、物価上昇に伴うデフレ脱却期待、東京証券取引所によるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ是正要請を受けた経営改革期待、業績の増益基調などが株高要因となりました。

 一方、東証に上場されている米ナスダック100指数に連動を目指す円建てETF(上場投信/東証コード:1545)の取引価格も堅調に推移しています。1545の取引価格は前週と今週に過去最高値を更新しました。こうした中、1545の長期パフォーマンスが日経平均を大きくしのいできた趨勢(すうせい)に注目したいと思います(図表3)。

 約10年前(2013年初)を起点とすると、日経平均は約3.2倍となってきましたが、1545は同期間に約10.6倍となってきたことが分かります。このナスダック100指数連動型ETFは、原則として為替ヘッジをしないインデックスファンドであることで、ナスダック100指数の相対的堅調に加え、ドル高・円安がもたらす「為替差益」も好パフォーマンスに寄与してきました。

 米国市場では、ビッグテック銘柄を中心にナスダック相場が復調を取り戻し、為替のドル/円相場は円安傾向を維持しています。今年に限って比較しても1545の年初来上昇率は約64.6%に達し、日経平均の年初来上昇率(+28.5%)の約2.3倍となっています(15日)。

 なお、1545は新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の成長投資枠対象商品です。世界のイノベーションや米国株式をリードするナスダック相場の堅調を資産形成に取り込んでいく国際分散投資に活用したいと思います。

<図表3>ナスダック100連動型ETFの長期リターンは日経平均をしのいできた

*上記ETFは新NISAの成長投資枠対象商品です。
(出所) Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2013年初~2023年11月15日)

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