「株価は業績」に倣い来年央までS&P500の行方を占う

 米国市場では、引き続き債券市場の金利動向や景気見通しを巡る一喜一憂で株価が揺れる動きが想定されます。

 ただ業績面では、2023年4-6月期の決算発表(エネルギーを除くS&P500種指数ベース)はすでに前年同期比+0.6%と増益に転じ(1-3月期は▲4.4%の減益だった)、7-9月期の業績予想は+4.9%の増益、10-12月期は+10.5%の増益が見込まれています(Bloombergによる予想集計)。

 個別企業の決算動向については予断を許しませんし、製造業を中心に決算やガイダンス(業績見通し)の伸びが鈍化していくとの慎重論もあります。

 一方で、株式市場は中期的な視点に立った業績回復・拡大トレンドを織り込んでいく可能性もあります。図表3は、S&P500とナスダック100指数をベースにした暦年EPS(1株当たり純利益)の実績と市場予想平均(予想は2023年、2024年、2025年:Bloomberg集計平均)を示したものです。

 S&P500ベースでは2023年通期で微減益が予想されているものの、2024年は最高益に回復。2025年は利益が一段と拡大する見通しとなっています。

 特にナスダック100ベースの予想EPSは、2023年も増益を維持。2024年には19.8%の増益、2025年は15.2%の増益と二桁成長を続け過去最高益を更新すると見込まれています。「株価は業績」との格言に倣うなら、大規模な生成AI革命を原動力とするナスダック相場が米国株式をリードし続けるトレンドに期待したいと思います。

 米国株は9月に底入れを明確にし、来年に向けた業績回復を織り込む復調で「年末高」を示現すると予想しています。S&P500の年末予想値としては「4,600ポイント超」を維持し、株価は上下しながらも来年央には過去最高値(2022年初につけた4,796)を上回る「4,800ポイント」を目指す復調展開を見込んでいます。

<図表3>S&P500とナスダック100の業績見通し

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2023年8月30日)

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