ナスダック100の業績見通しは底入れから上向きへ

 なお、ナスダック100が最近復調を鮮明にしているもう一つの理由として「先行きの業績底入れ観測」が広まっていることが挙げられます。GAFAMは、昨年より大規模なリストラ(人員削減)を実施。経営体質や利益率の改善面で先んじてきました。

 その結果、年後半に見込まれている景気停滞を乗り越えてナスダック100の業績見通しは底入れから復調が見込まれるようになりました。

 図表3は、2020年初を100としたナスダック100指数ベースの予想EPS(一株当たり利益)(12カ月先予想EPSを巡る市場予想平均)とS&P500ベースの予想EPS(同)の推移を示したものです。利上げの累積効果に伴う景況感悪化を乗り越え、S&P500ベースの予想EPSも底入れ感を示していますが、ナスダック100指数ベースの予想EPSは復調傾向をみせています。

 株価はPER(株価収益率)とEPSの積で計算されますが、予想EPSの復調傾向は株価の堅調トレンドに追い風となりそうです。

 米国市場では当面、地銀の経営破綻に伴う金融不安、くすぶる景気後退観測、6月に向けたリスク要因とされる公的債務上限問題などで株価が上下動を繰り返す可能性があります。

 株式相場が下落する局面では、ハイリスク・ハイリターン特性のあるナスダック100指数連動型インデックスファンドや大手テック銘柄で構成される「ビッグ・セブン」への集中分散投資を実践するには良い機会かと考えられます。

「第4次産業革命」の進展を見込みつつ、長期目線を前提に市場平均(S&P500)を上回るパフォーマンスが期待できる分散投資を構築したいと思います。

<図表3>ナスダック100の予想EPSは底入れから復調傾向

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2020年初~2023年5月19日)

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