原油生産国でも非民主国家が台頭

 以下の図は、原油(天然ガス液除く)を生産している国々の、自由民主主義指数の状況を示しています。2011年以降、非民主国家が増加、民主国家が減少していることがわかります。

図:原油生産国の状況(自由民主主義指数 0.5以上と0.5未満)

出所:V-Dem研究所およびBPのデータをもとに筆者作成

  近年、OPECプラスが減産(上限を決めた生産活動)を行っているため、非民主国家の生産シェアは頭打ちです。逆に、米国で起きたシェール革命により、民主国家のシェアは上昇傾向にあります。

 頭打ちとはいえ、非民主国家の原油の生産シェアは69%です(2021年)。ウクライナ危機勃発により、西側(多くが民主国家)と、非西側(多くが非民主国家)の間の溝が後戻りできないくらい深まっています。

「環境問題」「脱炭素」の名の下、十分な配慮を欠いたまま化石燃料(原油・天然ガス・石炭など)の使用を一方的に否定した民主国家が今後、かつてのように非民主国家から化石燃料を調達できるかどうかは、不透明と言わざるを得ません。