米国市場の主力銘柄で騰落率ランキング

 米国市場が押し目を形成している現在、どんな個別銘柄への投資戦略が有効となりそうでしょうか。参考情報として、図表3では時価総額大手100社で構成されるS&P100種指数をもとに「年初来騰落率」の高い順番に上位10銘柄を一覧にしました。その結果、テクノロジー系銘柄が上位4位を占めていることがわかります。

 1位はエヌビディア(年初来騰落率+65.5%)、2位はメタ・プラットフォームズ(同+53.7%)、3位はテスラ(同+47.8%)、4位はセールスフォース(同+38.0%)となっています(8日時点)。

 これらテック株の多くは2022年に大きな株価調整を余儀なくされましたが、今年に入っては回復基調をみせています。株式相場が早晩調整モードを抜け出すと想定するなら、今年に入って株価の流れが改善してきた銘柄への押し目買いを実践する投資戦略も検討できます。

<図表3>米国市場の主力銘柄で騰落率ランキング

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2023年3月8日)

 特に、半導体大手エヌビディア(NVDA)は、2月22日に発表した第4Q(2022年11月-2023年1月)決算を受けて株価が堅調となっています。同社の決算は、売上高が前年同期比減収、純利益も同減益でしたが、売上高も純利益も市場予想平均を上回りました。

 また、同社CFOは「今期の売上高は、自動運転ソリューションや電気自動車(EV)向けコンピューティングソリューション、AI(人工知能)ソリューションの販売の強さを反映したものだ」と述べました。

 市場で注目されているのが「生成AI」利用の広がりから受ける恩恵です。チャットボットと呼ばれる「ChatGPT」の有望性が明らかになると、エヌビディアの市場シェアが高いAI向けGPU製品への需要が拡大する可能性が期待されています。

 同社CEOは決算発表で、「AIはあらゆる産業で広く利用されるようになる『変曲点』にある」と述べました。今後、エヌビディア製のAI向けプロセッサーの拡販が続くと見込まれており、同社株価の大勢は中長期の点で注目したいと思います。

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