2023年と2024年の業績予想をチェックする

 図表4は、米国市場のセクター(業種)別株価指数の年初来騰落率が高い順番に、暦年の予想PERや予想EPS(1株当たり利益/市場予想平均)の前年比増減益率を一覧にしたものです。セクター別に今年の年初来騰落率を振り返ると「エネルギー」が+56.3%と独り勝ちだったことがわかります。

<図表4>米国市場の2023年と2024年の業績予想をチェック

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2022年12月28日)

 とは言うものの、セクター別株価指数ベースの2023年、2024年の予想EPS増減益率でみると、エネルギーは2023年と2024年について減益が予想されています。一方、IT(情報技術)、一般消費財・サービス、資本財・サービスは2023年も2024年も二桁台の増益率が予想されています。

 S&P500種指数(市場全体)ベースでは、2022年の+13.6%から2023年は+6.7%へと増益率の減速が見込まれていますが、2024年には+9.6%への増益率回復が予想されています。

 こうした観点でみると、S&P500ベースの2023年予想PERで16.2倍、2024年予想PERで14.8倍には割安感がみてとれます(28日時点)。当面の株式市場についてはFRBのタカ派姿勢と景気の減速不安を背景に投資家心理が悪化しており、2023年前半も神経質な動きを引き継ぐ可能性があります。

 ただ、2023年後半から2024年にかけての金利安定、景気の底入れ、業績見通しの改善を徐々に視野に入れ、2023年後半の株式は復調傾向をたどっていくと予想しています。

 米国株式はMSCI世界株式指数の時価総額ウエート(比率)で約6割を占めています。米国株が2023年に陽転すれば、(市場別で強弱はあっても)世界株式全体でリスク選好が復調の流れに乗ると見込んでいます。

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