「溝」がコモディティ投資を面白くする?

「溝」が与える、コモディティ市場への影響を考えます。「溝」が存在することは、少なくとも二つの異なる存在があることを意味します。

 コモディティ市場における二つの異なる存在は、売り手(生産国)と買い手(消費国)です。

 この2者は、基本的に平等の立場にあります。「上昇」が多数の正義となる、株式市場と大きく異なる点です。

 短期視点では、生産国の思惑が市場を支配する場面もありますが、長期視点では、価格が上がりすぎれば買ってもらえなくなるリスクが高くなるため、一定の水準で価格上昇に歯止めをかける力が働きやすくなります。

 価格が下がりすぎれば、売ってもらえなくなる(生産できなくなる)リスクがあるため、一定の水準で価格下落に歯止めをかける力が働きやすくなります。

 長期視点で、多くのコモディティ銘柄の値動きの源泉は、「売り手」と「買い手」、双方でつくる「溝」にあると言えます。

 こうした考えをもとにすれば、例えば、過去の「記録的な高値(≒一定水準の行き過ぎた高値)」と「記録的な安値(≒一定水準の行き過ぎた安値」は、相場トレンドの転換点と考えることができるでしょう。

 現在のプラチナは、長期視点のこうした高値と安値を意識した見通しを立てやすい環境にあると、考えます。

 気候変動問題への世界的な取り組みは、数十年単位で進む可能性があるため、今回のCOP27で全てがうまく前進するわけではありません。

 とはいえ、長期視点で、人類はそれを共通の課題であると認識し、対策(脱炭素)が進む可能性があります。

 これにより、新しいプラチナの需要が生まれ、価格が長期視点で上昇する可能性があると、考えます。

図:プラチナ価格の推移 単位:ドル/トロイオンス

出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 今回は、「COP27」を起点に、「気候変動問題」「溝」「プラチナ積立」について書きました。個人投資家の皆さまの長期投資の一助になれば幸いです。

[参考]積立ができる貴金属関連の投資商品例

純金積立・スポット取引:金(プラチナ、銀)

投資信託(一例):

ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)

ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)

三菱UFJ 純金ファンド

海外ETF(一例):

SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)

iシェアーズ・ゴールド・トラスト(IAU)

米国株(一例):

バリック・ゴールド(GOLD)

アングロゴールド・アシャンティ(AU)

アグニコ・イーグル・マインズ(AEM)