中間選挙の直前から株価は上昇しやすい

 米国の中間選挙が11月8日に実施されます。連邦下院議会の全435議席、同上院議会の100議席中の約3分の1(35議席)、36州の知事など多くの中央・地方政府の役職が争われます。

 下院議員の任期は2年、上院議員の任期は6年ですが、一般的に「中間選挙は現職大統領の通信簿」と呼ばれます。

 現在のところ、「下院は野党(共和党)が優勢、上院は接戦ながら与党(民主党)がやや優勢」との見方が有力です(各種報道・世論調査による)。

 また、トランプ氏(前米大統領)が応援している共和党候補が無党派層を獲得してどれほど当選できるかも注目。無党派層にはトランプ氏にアレルギーを抱いている有権者が多いとされているからです。

 いずれにせよ、上下両院議会で共和党が過半の議席を獲得する結果となれば、大統領府(ホワイトハウス=民主党)と議会の「ねじれ現象」が鮮明となり、バイデン米大統領のレイムダック化(統治力の減退)が想定されるところです。

 一方、このような政治情勢の変化とは別に、株価動向と選挙サイクル(4年)には「アノマリー」(Anomaly:理論的な説明が難しい経験則としての株価傾向)」が存在することが知られています。例えば、「中間選挙の直前から株価は年末高を迎えやすい」という傾向です。

 図表4は、「中間選挙が実施された年」を過去10回(年)取り上げ、NYダウ(ダウ工業株30種平均)の平均推移を示したものです(年初を100とした場合)。

 中間選挙の年は、10月から年末にかけて相場が堅調に転じることが多かった実績がわかります。

 今後、インフレ圧力の和らぎと景気後退リスクが明らかとなるにつれ、12月FOMCや来年に向けての政策金利見通し(軌道)のめどが立ってくると、中間選挙後からの「年末高」や、大統領選挙前年に相当する2023年の「不景気の株高」(現職大統領による景気対策の効果を織り込む相場)が示現する可能性が高いと考えています。

<図表4>「中間選挙年は年末高」のアノマリーは再現される?

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成

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