米国株はいったん下値固めの動きに

 年初から先行き不安を織り込んで軟調だった米国株は、いったん下値固めの動きを示しています。図表1は、S&P500種指数と長期的なテクニカル・サポート(下値支持線)として意識されている200週移動平均線の推移を示したものです。

 S&P500は200週移動平均線(3,612ポイント)を一時割り込みましたが、徐々に下値を固め10月に入ってからは+6.8%の3,830ポイントに反発しています(26日)。

 この背景には、(1)来週開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)での大幅利上げ(+0.75%)に続き、12月FOMCに向け利上げ幅縮小が議論されるとの期待、(2)第3Q(7-9月期)決算発表の結果が予想よりも悪くないとの見方、(3)S&P500の予想PER(株価収益率)が16倍台まで低下したことによる割安感、などが挙げられます。

(1)に関しては、先物市場で試算されるFF金利見通しによるターミナルレート(利上げ打ち止め水準)は5%弱とみられ、政策金利見通しにめどが付くことが債券の利回り安定に寄与する可能性があります。

(2)に関しては、S&P500構成企業(500社)のうち189社が決算発表を済ませた時点で、売上高は前年同期比+9.5%増収、純利益は同3.2%減益となっており、ポジティブサプライズ(事前予想に対する発表値のプラス率)は、売上高が+1.2%、純利益が+0.9%となっています(26日)。

 ただ、S&P500の当面における上値抵抗線は4,000ポイント程度と想定され、短期的な戻り売りを消化する必要もありそうです。

<図表1:S&P500種指数の下値支持線と上値抵抗線のめど>

出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2020/1/1~2022/10/26)