米国株への長期積立投資は最強か

 コア・サテライト投資戦略では、米国株への長期積立投資が「コア」(中核)を担う資産形成法といえるでしょう。参考までに、21世紀初頭(2000年初)から3万円を米国株式(S&P500トータルリターン指数<円換算>)に投資し、その後も毎月末に3万円を継続的に投資してきた場合を考えてみます(図表3)。

 2000年1月から2022年9月まで273回の定時定額投資を実践すると、累計投資額は簿価ベースで819万円(=3万円×273回)です。ドルコスト平均法と複利運用(雪だるま)効果で、投資元本の時価評価額は9月末時点で約3,506万円(累計投資額の約4.3倍)に膨らんできました。

 もちろん、これに至る過程では、ITバブル崩壊(2000年)、リーマンショック(2008年)、コロナショック(2020年)に伴う景気後退や株価の大幅下落を経験してきました。長期投資を実践する間には、投資環境の変化で株価が下落するケースは少なくありません。

 ただ、長期視点で米国株式が世界株式の平均リターンを大きく上回ってきたことで、資産を増やすことができたことを示しています。今回のシミュレーションは、定額(3万円)を米国株式に着実に投資し続ける定時定額投資の市場実績を検証したものです。

 今年のように株価が大きく下落すると、投資家として不安を抱き心配になりがちですが、実は「ピンチはチャンス」とも言えます。株価の大幅安は、定時定額投資で買える口数(投信信託の単位)を多めに購入できる機会となるからです。

 図表1で示したとおり、米国株の調整が一巡しつつあるなら、「株価が下落していたときに安く買えて良かった」と後々に安堵(あんど)できるはずです。最強とされる米国株への積立投資の「王道」は、長期の視野に立って着々と継続すること(Stay Invested!)だと考えています。

<図表3>米国株式の積立投資効果を検証してみる

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2000年初~2022年9月)

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