IMFは世界経済見通しを改定:注目点は?

 こうした中、IMF(国際通貨基金)は10月11日に世界経済の最新見通しを公表しました(図表2)。2023年の世界の実質成長率をこれまでより0.2ポイント低い+2.7%へと下方修正。IMFは「来年は多くの人にとって不況のように感じるだろう」と指摘しました。

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻やインフレの長期化による生活費の上昇、米国を中心とする世界的な金融引き締め、中国の景気減速などが主な要因です。国(地域)別では、米国の2023年成長率見通しはこれまでと同じ+1.0%に据え置きましたが、2022年の見通し(+1.6%)からさらに縮小すると予想しています。

 ユーロ圏の2023年成長率についてもこれまでより0.7ポイント低い+0.5%に下方修正しました。欧州ではウクライナ戦争によってエネルギー価格が高騰し、市民生活や経済活動に打撃を与えることが要因です。

 また中国も0.2ポイント引き下げて+4.4%に下方修正しました。中国では経済活動のおよそ5分の1を占める不動産市場が急減速しており、世界経済にも影響を及ぼすリスクがあると警戒されています。

<図表2>IMFによる最新の世界経済見通し

(出所)IMF(国際通貨基金)より楽天証券経済研究所作成(2022年10月予想)

 IMFの世界経済見通しの中で注目したいのは、インドの相対的な高成長率予想です。上記した成長率見通しは実質ベースですので、インフレ率を加味した名目ベースでみると、インドの経済規模は2022年も2023年も約1割ずつ増加していく見込みです。

 インドのナレンドラ・モディ首相は、英国から独立して75周年を迎えた独立記念日(8月15日)の演説で、「今後25年で先進国になることを目指す」と宣言しました。資産運用における「コア・サテライト投資戦略」の中でインドへの分散投資が注目されている要因と言えそうです。インド株式に分散投資するETF(上場投資信託)や追加型公募投信にも目を向けたいと思います。