ソフトバンクGの保有株の評価方法に2通りある:時価と簿価

 ソフトバンクGの純損益は、数兆円の黒字になったり数兆円の赤字になったり、激しく変動します。それはソフトバンクGが業態を投資ファンドに変更しつつあることによります。同社がソフトバンク・ビジョン・ファンド1(SVF1)やソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)を通じて保有する上場・非上場の株式を全て時価評価する必要があるからです。

 ただし、ソフトバンクGには、時価評価しなくても良い保有株もあります。子会社や関連会社の株式は時価評価の対象ではありません。同社が保有してきた中国のインターネット販売大手アリババ株は、関連会社だったので時価評価されていません。

 ソフトバンクGは2000年1月、当時駆け出しのベンチャー企業だったアリババに約27億円を出資しました。アリババは急成長して2014年9月には米国で上場、同社が出資した27億円のアリババ株の価値は約5兆円に膨らみました。アリババ株は上場後も上昇し続け、ソフトバンクGが保有する含み益は一時推定20兆円に達しました。

 その後、アリババ株は中国政府のハイテク規制によって大きく下がり、含み益も大きく減りましたが、それでもなお、アリババ株に巨額の含み益があることはわかっていました。

 これまでもアリババ株を少しずつ売却することで巨額の利益を計上してきましたが、4-6月で3.1兆円もの巨額損失を計上したため、財務面の守りを固めるために、保有するアリババ株の含み益を全て実現益とする決断をしたと考えられます。