プラセボ(偽薬)でも、わかりやすければよい?

 本レポートで指摘したとおり、銅やアルミニウムの診断は完全なものではありません。不完全な診断で、世界経済が不調に陥っている、と感じるのは早計でしょう。

 わたしたち市場関係者は、イメージのしやすさに甘え、注意すべきキーワードを真に受けて、世界経済が不調に陥っていると思い込んではいないでしょうか。これはどこか、「プラセボ(偽薬)」を服用し、思い込みによって病気が治ってしまうことに似ています。

 銅価格が急落しているため、必要以上に、世界景気が悪化しているように感じてしまっている可能性があると、筆者は感じています。実は、世界景気はそこまで悪化していないのかもしれません。

「ドクター・カッパー」「有事の金(ゴールド)」「OPEC減産は原油価格上昇」「プラチナは自動車排ガス浄化装置向け需要がメイン」などの、コモディティ関連の注意すべきキーワードの共通点は、市場環境が激変する前の出来事によってつくられたことです。

 今のように、株式市場も通貨の市場も、コモディティ市場も成熟していない、もちろんETF(上場投資信託)なども存在しない、コモディティ(商品)市場が独立性を保っていた時代にできた言葉です。

 過去の遺物になりつつあるこうしたキーワードによる診断が、しばしば「誤診」になる可能性を常に頭の片隅に置いておく必要があります。「イメージしやすいキーワードこそ、注意が必要」です。

[参考]非鉄関連の具体的な投資商品例

国内株式

ENEOS HLDG
三井金属鉱業
住友金属鉱山
住友商事

国内ETF

NEXTFUNDS鉄鋼・非鉄(TOPIX-17)上場投信
WisdomTreeアルミニウム上場投信
WisdomTree銅上場投信

海外ETN

iPathシリーズBブルームバーグ銅サブ指数トータルリターンETN

外国株式

リライアンス・スチール・アンド・アルミナム
サザン・コッパー
BHPグループ
フリーポート・マクモラン
リオ・ティント
ヴァーレ

海外先物

銅、ミニ銅