セカンドオピニオン(第二の意見)はアルミ先生

 ここまで、「ドクター・カッパー」について、「価格動向」、「需要国の内訳」の2点から、議論してきました。全体的に、「ドクター・カッパー」の考え方は、2000年以前に生まれた古いしきたりめいたもので、現在はご乱心中、という印象を受けます。

 このような「ドクター」に診断をまかせてよいのか、という疑問が浮上するため、セカンドオピニオンを用います。セカンドオピニオンとは、セカンド=二番目の(second)、オピニオン=意見(opinion)で、「二番目の意見」という意味です。

 実際の医療においても、とくに、高度な医療制度が浸透した先進国では、主治医以外の医師の意見を参考にするセカンドオピニオンは、一般的な考え方です。

 筆者はコモディティ(商品)市場の専門家であるため、「ドクター・カッパー」の診断に対するセカンドオピニオンを担う存在を、コモディティ銘柄の中から探すことにしました。

 先述の「不平等」の要素は残りますが、「ご乱心」度は下げられるように、思います。「アルミニウム」です。「ドクター・アルミ」と呼びましょうか。

図:アルミニウムと銅の需要内訳

出所:JOGMECのデータをもとに筆者作成

 アルミニウムの性格は、銅と同様、さびにくい、加工しやすい、電気を通しやすい、熱を通しやすい、などがありますが、特筆すべきは「軽い」「丈夫」です。

「軽くて丈夫」の性格が買われ、アルミニウムは、航空機、鉄道、自動車などの輸送の分野で多用されています。また、さびにくい点と合わせて、住宅資材のほか、アルミ缶などの食品容器にも使われています。

 このように、アルミニウムも、基幹分野に根付いています。食品の分野まで裾野が広がっている点は、銅にはない特徴と言えるでしょう。このような需要内訳から、アルミニウムも、銅と同様に、「ドクター」になれると考えます。