※本記事は2022年5月2日に公開したものです。 

 君は、友達や家族と「お金」の話をしたことがあるかな? お金持ちになることが「なんとなく、ちょっとよくないこと」に見えていないかな? これって実は、本当はすごく変なことだ。「将来とか、お金のことが、ちょっと心配?」――大丈夫! それはお金の仕組みがよくわかっていないから、不安なだけ。

 ジェームズ・スキナーさんは、世界的にも有名な「お金と会社をつくる達人」。君たちがこれから、もっと自由に、やりたいことを成し遂げていくために必要な、お金との付き合い方のキホンを聞いてみよう。
 

「お金」は正義!自分が価値を生んだ成果だ

「お金を稼ぐことは悪いこと。お金の話をするのは悪いこと」――日本にはそんな考え方が根強くあります。でも、お金を稼ぐことが良いことか悪いことかという話をするためには、「お金とは、何者なんだ?」をまず考えておかなければなりません。

 お金とは「社会のために生みだした価値」のことです。例えば、あなたが近所のコンビニの時給1,000円のアルバイトに応募して1時間「働いた」とします。まずここで、あなたは「コンビニ運営の手助け」という、1,000円分の価値をつくり出したのです。

 だから、コンビニのオーナーは、その価値を数字で表します。1,000円分を支払うのです。現金払いという約束なら1,000円分を渡してもいいし、500円玉を2枚渡してもいい。銀行振込という決まりなら後日、あなたの銀行口座に1,000円分を振り込みます。

 つまり、あなたが与えた価値をお金に換算したということ。そして、そのお金で、あなたは何か好きなもの(例えばドーナッツ)を買うことができます。

 この一連の流れを文章にすると、「この人(あなた)は先に社会のためになることをした(コンビニで働いた)ので、この人が何か(ドーナッツ)を欲しくなった時には、かなえてあげてね。ただし、価値の範囲内で」ということ。

 これが社会の約束、「相互性(同じことをし合うこと)の原則」です。

 次に、あなたは220円のドーナッツを買いました。消費した価値(220円)についても記録しなければならないという社会のルールがあるので、次の式で差額(残った価値)を計算します。

自分がつくり出した価値 - 人がつくり出した価値を消費した分 = 差額
1,000円-220円= 780円

 この式を見ると、あなたは自分がつくり出した価値のうち、780円分の価値についてはまだ返してもらっていないことがわかります。

 お金持ちのことを億万長者と言うでしょう? 1億円持っている億万長者は、1億円分の価値を社会のために生み出したのにもかかわらず、まだ社会から何も返してもらってない人のことだとわかります。たくさん働いて1億円の価値を生み出して、何もかなえてもらっていないなんてえらい。勲章ものだと思いませんか?

 話を最初に戻して、「お金を稼ぐことは悪いこと?」なのか。あなたはコンビニで働いて、お客さまが欲しいものを提供した。お客さまに喜んでいただいた。その価値の対価としてお金をもらった。このように、お金を稼ぐプロセスは、人の喜ぶことをしてあげるプロセスなのです。

 さあ、お金を稼ぐことは悪いことだと思いますか?

 次は会社の話をしましょう。会社はいろいろな商品やサービスを売っていますよね。良い商品やサービスなら、お客さまは喜んでくれる。