金投資の際は金融商品ごとの特徴に要注意

具体的に金(ゴールド)投資をする際の一視点

 金(ゴールド)投資を検討するにあたり、筆者が非常に重要だと考えている点が一つあります。「指標性」があるドル建てのスポット(現物)価格との連動性です。

 世の中には金関連の金融商品が多数ありますが、それらの価格がいずれも、現物価格と寸分違わず推移しているわけではありません。

「寸分違わず推移しているわけではない」については、本レポートのテーマとした「円建て」と「ドル建て」が最たる例です。

 世界の指標価格(ドル建て現物価格)が仮に10%上昇したとしても、円建ての上昇率が10%になるとは限りません。先述のとおり、ドル/円が「強弱」を加えるためです。

 それ以外にも、「寸分違わず推移しているわけではない」例があります。

 金(ゴールド)のスポット(現物)そのもの、あるいは、それと直接的に連動している商品は指標そのものと言える一方、「連動を目指す」ことを旨としている投資信託やETF(上場投資信託)、「関連する」個別企業の株式は、大局的な値動きは一致したとしても、(現物に比べて)パフォーマンスに優劣がつく場合があります。

図:金(ゴールド)関連の投資商品における現物価格との連動性(イメージ)

出所:筆者作成

 投資信託やETFは、先物市場で運用する商品の場合(先物市場で運用する金融商品に連動する設計である場合も含め)、限月を乗り換える際にコストが発生したり、乗り換えた先の限月の価格がそれまでの価格と大きく異なったりするなどの特有の事情によって、現物価格と若干異なる動きになる場合があります。(極端に異なることはないものの、「寸分違わぬ」からは離れる)

 関連株についても、後述しますが、現物価格と株価が「寸分違わず」動くことは、なかなか考えにくいと言えるでしょう。

 投資をしている金(ゴールド)関連の商品に、「指標価格との高い連動性」を求めるかどうかは、投資をされる方次第ですが、保有する金融商品によっては、指標価格ほどのパフォーマンスが出ていない、などの事象が起き得る点に、あらかじめ留意する必要があるでしょう。