ルーブル安で逃避需要

【グラフ2】ルーブル建てBTC価格と出来高

出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

 【グラフ3】USDT(ステーブルコイン・テザー)​とルーブルの交換レートと出来高

出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

  上は、Binanceという世界最大手の交換所でのルーブル建てのBTC価格と出来高とUSDT(ステーブルコイン・テザー)とルーブルの交換レート(ほぼUSDRUBと同じになるが、まれにずれることもある)と出来高だ。

 ルーブル価格の下落(BTCRUBやUSDTRUBの上昇)と合わせて出来高が急増していることがよく分かる。

 ちなみに「テザー」というのはステーブルコインと呼ばれる法定通貨にペッグした暗号資産の代表格。時価総額は9兆円にのぼる。ここで注目してほしいのはその使われ方、ユースケースだ。

 ステーブルコインが必要な人は、そのペッグする法定通貨にアクセスできない人だ。米ドルが自由に決済できる米国人にとって、ドル建てのステーブルコインはさほど必要がない。逆に経済制裁下で資本規制が強化されたロシアや、外貨購入制限がある中国の人にとって、一時的に資産をシフトさせる受け皿として重宝される。

 従って、日本でも円ペッグのステーブルコイン開発の議論はあるが、日本人にとって円建てのステーブルコインの存在意義は薄い。また日銀がCBDC(中央銀行デジタル通貨)を開発した時に存在意義を見いだすことも難しい。だから不要だというつもりはないが、円建てステーブルコインは開発することより、ユースケースを見いだすことの方がずっと難しく、重要であることを指摘しておきたい。