金(ゴールド)、バルチック海運指数は反発中

 以下は、「1.上昇継続」にあたる銘柄の中で、比較的値動きを把握しやすい銘柄の価格推移です。

図:ウクライナ侵攻前日以降の価格推移「1.上昇継続」

出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 ニッケルについては、3月上旬に史上最高値をつけるなど、騰勢を強めていますが、取引所が一時的に売買を停止したり、成立した価格を取り消すことを検討していたりするなど、正常ではない状態にあるため、グラフから除外しました。

 トウモロコシと菜種は、ウクライナの主要な生産・輸出品目の一つであるため、情勢悪化を受けて供給不安が生じて価格が上昇しています。

 金(ゴールド)は侵攻後、不安が強まったことを受け、「資金の逃避先」と目され価格が上昇しています。また、原油高を受けたインフレ(相対的な通貨安)懸念により、「代替通貨」として注目が集まっていることも金価格上昇の一因と言えます。

 ドル指数は情勢悪化を受けた「有事のドル買い」の側面もあるかもしれませんが、主には、FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレを鎮静化させるため、米国の金融政策をより具体的に、引き締め方向に向かわせることが意識されているためだと、考えられます。

 以下は「2.下落後反発」にあたる銘柄です。

図:ウクライナ侵攻前日以降の価格推移「2.下落後 反発」

出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 ウクライナ侵攻が発生したことで、景気が悪化する懸念が強まり、欧州やアジアの主要な株価指数が一時的に反落しました。

 また、ロシア軍がウクライナ国内の主要な原発(原子力発電所)を攻撃・占拠したことで、「脱炭素」になじむ電源として注目されていた原発にリスクがあることが意識され、「脱炭素」を否定的にとらえるムードが一部で広がりました。これにより、「脱炭素」を推進する上で欠かせない、温室効果ガス排出権の価格が反落しました。

 しかし、欧州やアジアの株価指数、温室効果ガス排出権価格は、3月の2週目から、反発し始めています。一時の悲観的なムードが、和らいだ印象があります。