注目株4:安徽コンチセメント(00914)

 安徽省、広東省などに製造拠点を持つ地方政府系(安徽省)国有セメントメーカーです。拠点周辺地域には、アルカリ成分が少なく、炭酸カルシウム成分の多い良質な原材料が豊富に存在します。

 中国のセメントメーカーとしては最も早い1997年10月にH株上場を勝ち取るなど、中央からの支持も厚く、産業政策の恩恵を受け、中小企業を積極的に吸収することで今やアジア最大クラスの事業規模を誇るセメントメーカーに育っています。

 地域別売上高(2021年6月中間期)では、江蘇、浙江、上海などの東部が36%、安徽、江西、湖南などの中部が29%、広東、広西、海南などの南部が14%、四川、貴州、雲南などの西部が19%、海外が2.0%です。

 2021年12月期の業績見通しは4.0%増収、▲4.0%減益、2022年12月期の見通しは▲1.0%減収、利益は横ばいです。売上面では不動産バブル抑制政策による需要の伸び悩み、前年の政策の反動といったネガティブ要因があります。また、利益面では石炭需給のひっ迫による原材料コスト高といった要因があります。

 コンセンサスはやや悲観的ですが、これは当局による積極財政政策の加速や、賃貸物件を中心に不動産投資を拡大させる政策の効果を過小評価しているのではないかとみています。

安徽コンチセメントの月足

期間:過去5年(2017~2022年2月18日)
出所:楽天証券ウェブサイト

 株価は今年に入り、不動産バブル抑制政策、石炭価格上昇などの悪影響を織り込み、回復しつつあります。国家発展改革委員会は2月に入り、インフラ投資計画を前倒しで実施する方針を示すなど、インフラ投資拡大に積極的です。今後、政策面での支持があれば、業績の上方修正が期待できそうです。

注目株5:中興通訊(00763)

 華為技術と並び称される本土の大手通信機器メーカーです。設立当初は深セン市政府が筆頭株主でしたが、実質的には初代会長である候為貴氏が創業した民営企業です。

 セグメント別売上高(2021年6月中間期、以下同様)では、通信キャリア向けが66%、政府系企業向けが11%、一般消費者向けが23%です。通信キャリア向けには、接続、ネットワークから、ソフトウエアなど通信システム全体のソリューションを提供しています。

 政府系企業向けには通信ネットワーク、モノのインターネット、ビッグデータ、クラウドなどの関連商品や、通信システムのソリューションを提供しています。また、一般消費者向けにはスマートフォン、データ端末、情報端末などを提供しています。

 地域別売上高では、本土が68%、本土以外のアジアが13%、アフリカが5%、欧米・オセアニアが14%を占めています。

 2021年12月期の業績について会社側は1月28日、53~69%の増益になりそうだと発表しています。国内外の市場の回復、粗利益率の改善が業績好調の要因です。通信キャリア、政府系企業からの受注は好調が持続するとみられ、2022年12月期の見通しについては、二桁の増収増益は確保できるだろうと予想します。

 半導体不足が気になるところですが、2021年12月期の業績予想をみる限り、影響は軽微です。

中興通訊の月足

期間:過去5年(2017~2022年2月18日)
出所:楽天証券ウェブサイト

 イラン、北朝鮮に対して米国製品を違法に輸出し、政府に対して虚偽の報告をしたとして米国企業と取引停止の制裁を受けたのですが2018年7月、解除されています。

 現在では、米国からの市場排除はあっても、華為技術のように厳しい半導体禁輸措置は採られていません。本土では、インフラ設備投資の項目として、5G、通信関連を重視する方針を示しています。

 積極財政政策が強化された場合、需要急増が期待できそうです。