インフラ投資関連に注目。“社会の安定性”強化の政策に恩恵を受ける銘柄

 今月の注目セクターはインフラ投資関連です。景気の減速感が強まる中で、インフラ投資拡大政策の重要性が今後、さらに高まると予想します。

 高成長を続ける中国にあってグロース銘柄が有望であるとの見方は変わりません。ですが、逆風がなかなか収まりません。

 国家発展改革委員会など14部門は18日、「サービス業領域における困難な経営状況の産業の回復発展を促進させるための若干の政策」を発表しました。

 新型コロナ対策のため、苦境に陥っている企業を支援するといった政策なのですが、その中にはインターネット出前などのプラットフォーム運営企業がレストランなどから徴収する手数料標準を引き下げることが含まれていました。

“社会の安定性”を強化するために、庶民寄りの政策が出やすい環境にあります。

 今回ピックアップした銘柄は、政策が事業にネガティブになる可能性の小さいセクターです。インフラ投資拡大政策で恩恵を受ける国有大型企業を中心にピックアップしました。

注目株1:中国交通建設(01800)

 中央系国有企業のインフラ建設メーカーです。同業他社としてよく比較される中国中鉄(00390)中国鉄建(01186)は鉄道建設部門が強いのですが、同社は、港湾、橋りょう建設部門に強みがあります。また、海外工事の売上比率が同業他社と比べ高いことから、一帯一路関連の代表銘柄でもあります。

 部門別売上高(2021年6月中間期、以下同様)を確認しておくと、インフラ建設が86%、インフラ設計が6.0%、しゅんせつ工事が7.0%、その他が1.0%です。また、新規契約をみると、都市建設が46%、道路・橋りょう建設が22%、海外工事が13%、しゅんせつ工事が8.0%、港湾建設5.0%、鉄道建設、インフラ設計などが6.0%です。

 2021年12月期の業績見通しは16%増収、22%増益、2022年12月期の見通しは9.0%増収、12%増益です。2021年1-9月の新規契約額をみると、37%増と好調です。新型コロナ禍からの回復に加え、当局の積極財政政策の効果が出ています。

 プロジェクトベースでは都市建設、道路・橋りょう建設が好調で、海外部門の不振を補っています。グローバル経済が不安定な中、さらに中国経済に下押し圧力がかかるようなことになれば、インフラ建設投資の拡大が期待されます。

中国交通建設の月足

期間:過去5年(2017年~2022年2月18日)
出所:楽天証券ウェブサイト

 株価は1年前に底打ちした後、値固めを経て、上昇トレンドを形成しつつあります。2月18日現在、今期予想ベースのPER(株価収益率)は3.23倍、PBR(株価純資産倍率)は0.25倍で、割安感の強い銘柄です。