3サプライズに最も反応したのはユーロ/円

 このように3つのサプライズによって為替はそれぞれ反応したのですが、ユーロ/円が最も大きく反応したことからも、ラガルドECB総裁の豹変ぶりに対するマーケットのサプライズ度が分かります。

 しかし、1月のFOMC後に一部で迷走がみられたように、ECBもBOEも、今後の物価情勢や景気動向によっては、タカ派姿勢が修正されることも十分考えられます。

 特にECBは、ラガルド総裁がタカ派に豹変したというよりも、タカ派の圧力に屈したとの見方もあり、まだ早期の利上げについて1枚岩ではないかもしれません。ECB内のハト派が今後発言するかもしれないため注意が必要です。

 ECB、BOEの理事会後、ユーロ/円やポンド/円が上昇しましたが、FOMC後のドル/円が直後の上値をなかなか抜け切れないように、先週のユーロ/円、ポンド/円の高値水準が当面の高値圏となるかもしれません。

 今週のユーロ/円やポンド/円は上昇しても上値は限定的であり、下方への調整がどの程度あるのかを探る週になるかもしれません。ユーロ/円やポンド/円の円安の動きが限定的であれば、ドル/円の円安も伸びきらない可能性があります。

 ただ、米欧英の中央銀行は年が変わったとたん、一気にタカ派寄りにかじを切ったことには留意しておく必要があります。

 日銀の黒田総裁は1月の金融政策決定会合後の記者会見で「現在の緩和政策を変更することはまったく考えていない」と明言していることから、日銀だけが取り残されたかっこうとなっているため、じわじわと円安に効いてくるかもしれません。

 ECBの豹変でユーロが急騰したように、日銀の豹変で円急騰(円高)になるのはまだ先の話かもしれません。